労働基準法違反の罰則と労働基準監督署の権限・役割
労働基準法違反の罰則一覧(刑罰の種類と重さ)
労働基準法に違反していると、是正勧告を受けるだけでなく、悪質と判断されると「拘禁刑」や「罰金刑」の罰則が科されることがあります。また、労働基準監督官には独自の立入調査(臨検)や逮捕の権限も与えられています。
このページでは、労働基準法に違反した場合の罰則、会社や社長の責任、労働基準監督署の権限について、社会保険労務士が会話形式で分かりやすく解説しています。
10年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(第117条)
これをやったら、10年以下の拘禁刑(懲役)又は300万円以下の罰金が科されます。
1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(第118条)
これをやったら、1年以下の拘禁刑(懲役)又は50万円以下の罰金が科されます。
1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金-2(第118条第2項)
これも、1年以下の拘禁刑(懲役)又は50万円以下の罰金が科されます。
6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金(第119条)
これをやったら、6ヶ月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金が科されます。
【小島撚糸事件】
罰金30万円(第120条)
これをやったら、30万円以下の罰金が科されます。
【日本衡器工業事件】
会社の責任(第121条)
管理職等が労働基準法違反を行ったときは、会社も一緒に罰金刑が科されます。ただし、社長が労働基準法違反を行わないよう必要な措置を取っていた場合は免れます。
社長の責任(第121条第2項)
社長が労働基準法違反を知ったにもかかわらず、必要な対応をしなかったり、自ら労働基準法違反を指示した場合は、社長も同様に罰せられます。
労働基準監督署と監督官の組織と役割
労働基準法を所管する組織には労働基準監督署とは別の上部機関があります。それぞれの役割や権限などについて、規定別に会話形式で解説しています。
監督機関の職員(第97条)
労働基準主管局、都道府県労働局、労働基準監督署に労働基準監督官を置きます。
労働基準監督署長等の条件(第97条第2項)
労働基準主管局長、都道府県労働局長、労働基準監督署長は、労働基準監督官が務めます。
労働基準監督官の資格と任免(第97条第3項)
労働基準監督官の資格や任命、罷免については政令で定めます。
労働基準監督官分限審議会の設置(第97条第4項)
厚生労働省に労働基準監督官分限審議会を置くことができます。
労働基準監督官の罷免(第97条第5項)
労働基準監督官を辞めさせるには、労働基準監督官分限審議会の同意を必要とします。
労働基準監督官分限審議会の組織運営(第97条第6項)
労働基準監督官分限審議会の組織運営等については政令で定めます。
労働基準主管局長の権限(第99条)
労働基準主管局長は、厚生労働大臣の指揮監督を受けて、労働基準法の改廃や施行に関する業務を担当し、都道府県労働局長を指揮監督します。
都道府県労働局長の権限(第99条第2項)
都道府県労働局長は、労働基準主管局長の指揮監督を受けて、監督方法の調整や労働基準法の施行に関する業務を担当し、労働基準監督署長を指揮監督します。
労働基準監督署長の権限(第99条第3項)
労働基準監督署長は、都道府県労働局長の指揮監督を受けて、臨検、尋問、許可、認定、審査、仲裁など、労働基準法の実施に関する業務を担当し、所属の職員を指揮監督します。
労働基準監督署の権限の代行(第99条第4項)
労働基準主管局長と都道府県労働局長は、指揮監督下にある部局の権限を用いることができます。
女性主管局長の権限(第100条)
女性主管局長は、厚生労働大臣の指揮監督を受けて、労働基準法の女性についての規定に関する業務を担当し、その施行について労働基準主管局長等に勧告や援助を与えます。
女性主管局長の文書閲覧(第100条第2項)
女性主管局長は、労働基準主管局、都道府県労働局、労働基準監督署に対して、女性に関する文書を閲覧することができます。
女性主管局長の臨検(第100条第3項)
女性主管局長は、会社に立ち入ったり、帳簿類の提出を求めたりすることができます。また、守秘義務も課されています。
労働基準監督官の権限(第101条)
労働基準監督官は、会社に立ち入ったり、帳簿や書類の提出を求めたり、関係者に質問したりすることができます。
労働基準監督官の証票の携帯(第101条第2項)
労働基準監督官が会社に立ち入ったりするときは、労働基準監督官であることを示す身分証票を持っています。
司法警察官の職務(第102条)
労働基準監督官は、労働基準法違反について家宅捜索や逮捕ができます。
労働基準監督署に対する申告(第104条)
会社が労働基準法に違反している場合、従業員は労働基準監督署に申告することができます。
申告を理由とする不利益取扱いの禁止(第104条第2項)
従業員が労働基準監督署に申告したことを理由に、解雇など従業員に嫌がらせをしてはいけません。
労働基準監督署による報告及び出頭命令(第104条の2)
労働基準監督署は会社や従業員に報告させたり、出頭を命じたりすることができます。
労働基準監督署への報告(施行規則第57条)
事業を開始した場合や寄宿舎で火事や爆発が起きた場合などは、労働基準監督署に報告しないといけません。
労働基準監督官による報告及び出頭命令(第104条の2第2項)
労働基準監督官は会社や従業員に報告させたり、出頭を命じたりすることができます。
労働基準監督官の守秘義務(第105条)
労働基準監督官は職務上知り得た秘密を漏してはいけません。労働基準監督官を辞めた後も同じです。
執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。メールを用いた関連サービスは20年以上の実績があり、全国の中小零細企業を対象に、これまで900社以上の就業規則の作成・変更に携わってきました。

