賃金(手当)の支給額の記載|就業規則の規定例
賃金(手当)の支給額の記載
- 役職手当や資格手当等について、賃金規程(就業規則)に、具体的な支給額を記載しないといけませんか?
- 労働基準法上は、具体的な支給額を記載することは義務付けられていません。
賃金(手当)の支給額の記載
労働基準法(第89条)によって、就業規則に記載しなければならない事項として、「賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」が挙げられています。
賃金の「決定方法」となっていますので、具体的な支給額を記載することは求められていません。何を基準に決定しているのか、何を考慮して決定しているのか、を記載すれば問題はありません。
なお、労働基準法でいう「賃金」は、基本給に限定されません。役職手当や資格手当等の諸手当も、賃金に該当します。
そして、例えば、役職手当として、主任には月額1万円、係長には月額3万円、課長には月額5万円、部長には月額10万円を支払っている会社があるとすると、これが決定方法ですので、この内容を記載します。
また、課長に対して、月額5万円以上10万円未満の範囲内で役職手当を支払っている場合は、そのような書き方になります。
一方、具体的な金額は設定しないで、個別に支給額を決定している会社もあります。例えば、職責等を考慮して各人ごとに決定しているのであれば、それが決定方法ですので、その内容を賃金規程(就業規則)に記載することになります。
資格手当を支払っている会社においては、資格ごとに支給額を設定しているケースが多いです。
基本給については、具体的な支給額は記載しないで、抽象的な決定方法を記載している就業規則(賃金規程)が一般的です。
以上のとおり、労働基準法上は、具体的な支給額を記載することは義務付けられていません。抽象的な内容でも決定方法を記載していれば、労働基準法の要件を満たしていることになります。
しかし、様々な会社の就業規則(賃金規程)を見ていると、賃金の構成で「○○手当」と記載しているにもかかわらず、○○手当の決定方法が記載されていないケースがあります。ある会社では、モデル就業規則を利用して、中途半端な状態で作成を終了したということでした。
「○○手当」と項目だけ記載している場合は、決定方法を記載したことにはなりません。労働基準法上、問題があります。
「役職手当は、職責等を考慮して各人ごとに決定する」と記載しても抽象的で、実務上は余り意味がないように思われるかもしれませんが、労働基準法上は必要な規定です。
執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。
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