賃金の端数処理の方法|就業規則の規定例
賃金の端数処理の方法
- 割増賃金の計算をするときに生じる1円未満の端数は、1円単位に四捨五入していますが、問題はないでしょうか?また、端数処理はどの時点で行うのが正しいでしょうか?
- 賃金の1円未満の端数については、1円単位に四捨五入する方法で問題はありません。
賃金の端数処理の方法
厚生労働省の通達によって、賃金に1円未満の端数が生じた場合に、端数処理の方法として、次の方法が認められています。
- 1時間当たりの賃金額及び1時間当たりの割増賃金額に、1円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上の端数を1円に切り上げる
- 1ヶ月の割増賃金の総額に、1円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上の端数を1円に切り上げる
以上のとおり、賃金を計算していて、1円未満の端数が生じたときに、1円単位に四捨五入する方法で問題ありません。
端数処理をするタイミングは、@1時間当たりの賃金額を計算するとき、A1時間当たりの割増賃金額を計算するとき、B1ヶ月の割増賃金の総額を計算するとき、に行うことが想定されています。
就業規則に規定すれば認められる端数処理の方法
厚生労働省の通達によって、端数処理の方法として、次の方法も認められています。ただし、この場合は、就業規則(賃金規程)に取扱いを定めていることが条件になっています。
- 1ヶ月の賃金の支払額に、100円未満の端数が生じた場合に、50円未満の端数を切り捨て、50円以上の端数を100円に切り上げる
- 1ヶ月の賃金の支払額に、1,000円未満の端数が生じた場合に、その端数を翌月に繰り越す
現金の手渡しで賃金を支払っていた当時は、事務作業の負担を軽減できましたが、現在は口座振り込みが主流ですので、この方法は事務作業が増えるだけで、メリットは余りないと思います。
また、認められているのは、このままの方法で、金額等を変更することは許されません。
このとおりの処理をしていていても、就業規則(賃金規程)に規定していない場合は、労働基準法(第24条)違反として取り扱われます。
なお、前半の1円単位に四捨五入する方法で端数処理をしている場合は、就業規則(賃金規程)に規定する必要はありません。端数処理の方法を規定していない場合は、1円単位に四捨五入しているものとみなされます。
また、1円未満の端数を全て1円単位に切り上げるなど、四捨五入の方法より従業員にとって有利な方法で処理をすることは可能です。
執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。
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