遅刻があったときの減給|就業規則の規定例
遅刻があったときの減給
- 遅刻を3回したときに、欠勤したものとして1日分の賃金を減額することは、問題があるのでしょうか?また、そのように就業規則に記載していると、問題になりますか?
- 法律的に問題がありますので、就業規則に記載することもできません。そのような取り扱いは止めてください。
遅刻があったときの減給
例えば、1日8時間勤務で、20分の遅刻を3回したとします。このときに、1時間分(20分×3回)の賃金を減額することは可能です。しかし、欠勤したものとして、1日8時間分(>1時間分)の賃金を減額することはできません。
賃金は、勤務した時間分に対して支払わないといけないのが原則です。
勤務しなかった時間分の賃金を差し引くことはできますが、勤務しなかった時間分を超えて減額することは、「賃金の不払い」として労働基準法違反になってしまいます。
遅刻3回で欠勤扱いとなることについて、社員本人が同意していたとしても認められません。個別の同意より、労働基準法の内容の方が優先されます。また、就業規則(賃金規程)に、「遅刻3回で欠勤扱いにする」と規定していたとしても同じです。
労働基準法は、労働条件に関する最低基準を定めた法律ですので、その最低基準より劣る個別の同意や就業規則の規定は無効になります。つまり、労働基準法で定められている最低基準に満たない取り扱いは、法律違反になります。
また、遅刻を3回したときに、賃金を減額しないで、年次有給休暇を1日消化させることも違法な取り扱いです。実際には年次有給休暇を消化していないにもかかわらず、その権利を不当に失わせることになります。
ただし、就業規則(賃金規程)に基づいて、皆勤手当を支払っている場合に、従業員が遅刻をして、皆勤手当を減額することは問題ありません。
皆勤手当は無遅刻・無欠勤であることを条件として、その条件を満たした場合に限って支給するものです。皆勤手当は、減額するというよりも、条件を満たした場合に追加でご褒美として支給するものと考えれば理解しやすいかもしれません。
なお、遅刻が繰り返される場合は、賃金を減額することを考えるより、遅刻によってどのような迷惑が掛かっているのかを説明したり、始末書を提出させたり、遅刻をなくすよう会社(上司)は根気強く指導する必要があります。
また、決められた出勤日に、決められた始業時刻に出勤することは契約内容の一部で、遅刻は立派な契約違反です。毎週1回以上遅刻をするような場合は、会社の指導状況にもよりますが、解雇の正当な事由にもなり得ます。
賃金について
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