昇給の義務|就業規則の規定例
昇給の義務
- 昇給は必ずしないといけないのでしょうか?また、昇給をする時期はいつでも良いでしょうか?
- 就業規則(賃金規程)に具体的に規定していなければ、会社の状況に応じて自由に決められます。
昇給の義務
労働基準法(第89条)によって、従業員数が10人以上の会社は、就業規則を作成して、労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。
そして、就業規則に記載しなければならない事項の1つに、「昇給に関する事項」が挙げられています。
これは、“昇給すること”を義務付けるものではありません。その会社における“昇給のルールを記載すること”を義務付けているだけです。
ただし、就業規則に規定すれば、そのように取り扱うよう求められますので、就業規則を作成するときは注意しないといけません。例えば、就業規則(賃金規程)に、「昇給は毎年4月に行う」と規定すると、毎年4月に昇給することが義務付けられます。
この規定に続けて、但し書きで、「会社の業績により、昇給時期を変更し、又は昇給しないことがある」と規定していけば、4月の昇給を見送ることができます。
なお、法律的には昇給を見送ることができますが、会社から説明がないと、従業員は会社の将来に不安を持つと思います。従業員のモチベーションに影響しますので、会社の業績や見通しを説明して、従業員から理解を得ることが重要です。
また、会社によっては、決まった時期に昇給をしないで、必要と思った時期に、個別に昇給をしているケースもあります。
そのような場合は、就業規則(賃金規程)に、「昇給は、従業員各人の勤務成績、会社の業績等を考慮して、適宜行う」と規定する方法もあります。労働基準法では、具体的な時期を明示することは義務付けられていません。
また、昇給だけではなく、降給も想定する場合は、就業規則(賃金規程)の規定は“昇給”としないで、“賃金の改定”とする方法もあります。
執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。
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