遅刻で賃金を減額しない|就業規則の規定例
遅刻で賃金を減額しない
- 会社の就業規則(賃金規程)に、「遅刻をしたときは賃金を減額する」と規定しています。従業員が遅刻をしたときは、必ず、賃金を減額しないといけないのでしょうか?
- 会社の判断で、賃金は減額しないことも可能です。
遅刻で賃金を減額しない
労働基準法は、労働条件の最低基準を定めた法律で、最低基準を下回る取扱いをすることが禁止されています。最低基準を上回る取扱い(従業員にとって有利な取扱い)をすることは可能です。
そして、従業員数が10人以上の会社は、労働基準法の最低基準を満たした内容で、就業規則を作成することが義務付けられています。
就業規則も労働基準法と同じで、就業規則を下回る取扱い(従業員にとって不利な取扱い)はできませんが、従業員にとって有利な取扱いをすることは可能です。
会社が作成した就業規則(賃金規程)に、「遅刻をしたときは賃金を減額する」と規定している場合に、賃金を減額しない取扱いは、従業員にとって有利な取扱いですので、問題はありません。
また、就業規則を作成するときに、遅刻について定めている所で、「会社が認めた場合は遅刻としない」といった規定を設ければ、会社の判断で遅刻扱いにしないことができます。
例えば、従業員が電車の遅延証明書を提示したときに、この規定を適用すれば、「遅刻をしたときは賃金を減額する」の“遅刻をしたとき”に当てはまりません。賃金を減額しなくても、就業規則上で矛盾が生じることはありません。
別の方法として、就業規則に、「始業時刻及び終業時刻を繰り下げることがある」というような規定を設けている場合は、遅刻をした時間分だけ始業時刻と終業時刻を繰り下げれば、遅刻はなかったことになります。
ただし、これを自由に認めていると、遅刻が繰り返される恐れがありますので、始業時刻と終業時刻の繰下げ(繰上げ)は、会社の判断に基づいて行うことを明確にした方が良いです。
執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。
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