付加金の支払
付加金の支払
労働基準法 第114条
裁判所は、第20条、第26条若しくは第37条の規定に違反した使用者又は第39条第9項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から5年以内にしなければならない。
労働基準法 第143条第2項
第114条の規定の適用については、当分の間、同条ただし書 中「5年」とあるのは、「3年」とする。
【付加金の支払】の解説です
次のいずれかの未払いがあって、従業員から5年以内に裁判に訴えられたときは、その倍の金額の支払を命じられることがあります。
2倍の金額を支払わされる?
会社の違反行為に対して付加金という制裁を加えることにして、未払いをさせないようにすることを目的とした規定です。
未払いを支払うだけだったら、従業員にとっては当然の権利が救われるだけだ。
裁判所が悪質と判断したときは、未払いの金額に加えて、付加金としてその同額を加算して支払うよう命じられます。
裁判所が判断するの?
はい。裁判所が悪質でないと判断すれば付加金は付きませんし、裁判になる前に解決すれば付加金の支払を義務付けられることはありません。
従業員から裁判に訴えられるなんて考えたことがない。
退職した従業員が残業手当の支払いを求めて訴えるケースが多いですけど、労働基準法に違反していなければ心配いりません。
5年前に退職した従業員が請求してくる可能性がある?
可能性はゼロではありません。ただし、労働基準法の規定では5年となっていますが、当分の間は3年に短縮されています。
それでも3年か。
これまでは2年間だったのですが、労働基準法が改正されて、5年間に延長されました。
2.5倍?
はい。急に2年から5年に延長すると、想定外の影響があるかもしれないということで、当分の間は3年間とされています。
従業員から3年以内に訴えられなければ大丈夫?
はい。違反をして3年が過ぎれば、付加金の支払いを命じられることはありません。裁判をするための準備期間が掛かりますが、普通はトラブルが起きたら、その流れで訴えてくると思います。
従業員が退職して1年以内に何も言ってこなければ心配はいらないかな?
従業員が裁判に訴えるような場合は、退職する前後で労働基準監督署に申告したり、その前からトラブルが表面化していることが多いと思います。労働基準法に違反していなければ心配いりません。
「付加金の支払」に関する裁判例
付加金の支払に関して、次のような裁判例があります。
「解雇予告手当(新井工務店事件)」
「付加金に対する遅延損害金(江東ダイハツ自動車事件)」