前年度分と今年度分の年次有給休暇|就業規則の規定例
前年度分と今年度分の年次有給休暇
- 前年度に付与した年次有給休暇と、今年度に付与した年次有給休暇は、どちらの分から消化するのでしょうか?
- 労働基準法では特に決められていませんので、就業規則の規定によります。
前年度分と今年度分の年次有給休暇
就業規則を確認してください。「未消化の年次有給休暇は翌年度に限って繰り越す」という内容が記載されていると思います。労働基準法により、年次有給休暇の時効は2年間と定められていますので、
- 付与をした今年度分の年次有給休暇
- 前年度に未消化で繰り越された年次有給休暇
の2つが存在することになります。前年度か今年度か意識したことがないかもしれませんが、先にどちらの年次有給休暇から消化するのか、によって取得できる日数(年次有給休暇の残日数)が異なってきます。年次有給休暇の付与日数は、労働基準法で次のように定められています。
勤続年数(年) | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5年以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
有給休暇日数(日) | 10 | 11 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 |
そして、例えば、勤続3.5年(付与日数14日)の従業員が、この1年の間に8日分の年次有給休暇を取得したとします。
このときに、前年度分の年次有給休暇から取得(消化)したとすると、前年度分が8日以上残っている場合は、今年度分(14日分)は1日も消化されません。したがって、翌年度には、丸々14日分が繰り越されます。
一方、今年度分(14日分)の年次有給休暇から取得(消化)したとすると、翌年度に繰り越されるのは、14日から差し引いた6日分(14日−8日)になります。
つまり、この例で言うと、前年度分の年次有給休暇から消化したとすると翌年度に繰り越されるのは14日、今年度分の年次有給休暇から消化したとすると翌年度に繰り越されるのは6日、と年次有給休暇の残日数が大きく違ってきます。
したがって、会社にとっては、今年度分の年次有給休暇から取得(消化)することにした方が、年次有給休暇の残日数を減らすことができます。
前年度分と今年度分のどちらの年次有給休暇から取得(消化)するのか、労働基準法では定められていませんので、就業規則に今年度分から取得することを定めておけば、就業規則が優先されます。これは別に違法な取り扱いではありません。
ただし、これまで前年度分の年次有給休暇から取得(消化)していた場合は、就業規則の不利益変更に該当しますので、就業規則の変更について従業員と十分な話合いを行って、従業員から同意を得るようにして下さい。
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