再雇用と年次有給休暇|就業規則の規定例

再雇用と年次有給休暇

  • 従業員が60歳になったため、定年退職をして、その後、嘱託として再雇用した場合、年次有給休暇はどのようになりますか?
  • 年次有給休暇に関しては、嘱託として再雇用した場合も、そのまま雇用が継続しているものとして取り扱わないといけません。

嘱託として再雇用した場合の年次有給休暇

従業員が定年退職をして、嘱託として再雇用する場合は、形式的には、一旦退職をして、新たに雇用契約を締結するものです。そのため、通常の採用と同じように考えて、年次有給休暇もリセットされるのではないかと思われるかもしれません。

しかし、労働基準法は、形式よりも実態の方を重視します。形式的には退職して、新たに採用した形になっていたとしても、実態はずっと雇用を継続したままです。

したがって、労働基準法上、年次有給休暇に関しては、雇用が継続しているものとして取り扱われます。つまり、そのまま切れ目なく、勤続年数を通算しなければなりません。

また、前年度に付与して使われなかった年次有給休暇は、そのまま繰り越されます。退職したものとして、未使用の年次有給休暇の権利を消滅させることはできません。

就業規則で、「嘱託として再雇用するときは、年次有給休暇はリセットされる」というような規定を設けていても、これは労働基準法に違反する規定ですので無効になります。労働基準法に違反する就業規則の内容は無効になって、労働基準法が優先して適用されます。

ただし、退職金の支払い等、労働基準法に基づかない(労働基準法で義務付けられていない)、それぞれの会社で独自に定めている制度については、就業規則(退職金規程など)で自由に定めることができます。

退職金の計算において、どこからどこまでを勤続年数に加算するのか、休職期間を勤続年数に加算しなかったり、嘱託やパートタイマーとして勤務する期間を勤続年数に加算しなかったりすることは、労働基準法では特に制限されていませんので、就業規則で規定している内容によります。

パートタイマーから正社員になった場合

正社員から嘱託に転換する場合について説明してきましたが、パートタイマーから正社員に転換する場合も同じです。

パートタイマーとして勤務していた期間は、年次有給休暇の勤続年数の計算においては通算され、未消化の年次有給休暇は正社員になっても切れ目なく引き継がれます。

年次有給休暇について