年次有給休暇の出勤率と休職期間|就業規則の規定例

年次有給休暇の出勤率と休職期間

  • 年次有給休暇を付与するかどうかの基準となる出勤率を計算するときに、休職期間はどのように取り扱えばいいのでしょうか?
  • 休職期間は、全労働日数(分母)から除いて計算します。

年次有給休暇の出勤率の計算

労働基準法により、前年度の出勤率が8割未満の社員には、年次有給休暇を与えなくても良いことになっています。この出勤率は、前年度の「出勤日数」を「全労働日数」で割って計算します。

この分母となる「全労働日数」とは、労働義務のある日、言い換えると、出勤日と決められていた日の合計日数のことを言います。

ところで、休職とは、在籍したまま労働義務を免除する制度を言います。そのため、休職期間は、労働義務がない期間になります。つまり、休職期間は出勤日でありません。

したがって、休職期間は、「全労働日数」(分母)には含まれませんので、「全労働日数」(分母)から除きます。当然、「出勤日数」(分子)にもカウントしません。

なお、休職制度がある会社では以上のように計算しますが、休職制度がない会社では、年次有給休暇を使い切った後は、「欠勤」と同じ扱いになります。

出勤したものとみなすケース

休職期間は「全労働日数」(分母)から除くことになっていますが、次の期間については、出勤したものとして取り扱うことが、労働基準法で定められています。

  1. 業務上の傷病による休業
  2. 産前産後休業
  3. 育児休業・介護休業
  4. 年次有給休暇

出勤率の計算においては、これらの日は出勤したものとして、分子の「出勤日数」に加算します。なお、これらの日は、分母の「全労働日数」にもカウントします。

就業規則の年次有給休暇の規定の中に、このような出勤率の計算に関する規定があると思います。就業規則に出勤率の計算方法を規定していないと、そのときになって「どうなっていたかな?」と事務が停滞することになりますので、具体的な計算方法を就業規則に記載しておくことが望ましいです。

以上の内容が原則的な取り扱いですが、労働基準法の内容より、社員にとって有利に取り扱うことは構いません。慶弔休暇についても、出勤したものとみなしている就業規則も多いです。

また、前年度の出勤率が8割未満だったとしても、病気等の事情があって、会社が特別に認めたときは、通常どおり年次有給休暇を付与しても差し支えありません。

年次有給休暇について