週2日勤務の従業員の年次有給休暇の付与日数

週2日勤務の従業員の年次有給休暇の付与日数

  • 週2日勤務のパートタイマーにも、年次有給休暇を与えないといけないのでしょうか?
  • 労働基準法によって、週2日勤務で従業員を採用して、6ヶ月が経過したときは、3日の年次有給休暇を付与することが義務付けられています。

週2日勤務の従業員の年次有給休暇の付与日数

労働基準法の規定

労働基準法(第39条)によって、勤続年数に応じて、次の日数の年次有給休暇を付与することが義務付けられています。

勤続年数0.5年1.5年2.5年3.5年4.5年5.5年6.5年以上
付与日数10日11日12日14日16日18日20日

これが原則的な(標準の)年次有給休暇の付与日数です。

しかし、6ヶ月勤務をして10日の年次有給休暇を付与したとすると、週5日勤務の従業員と週2日勤務の従業員では、10日の価値が違います。

週5日勤務の従業員が10日の年次有給休暇を連続して取得すると2週間で使い切りますが、週2日勤務の従業員は5週間で使い切ることになります。2.5倍の期間に及びます。

そのため、労働基準法(第39条)では、原則的な(標準の)1週間の所定労働日数を5.2日として、1週間の所定労働日数が4日以下の従業員については、これに比例した日数を付与する方法が定められています。比例付与と言います。

例えば、1週間の所定労働日数が4日の者については、「4/5.2×標準の付与日数」で計算します。勤続0.5年で標準の付与日数が10日で計算すると、7.4日となって端数は切り捨てますので、その結果7日になります。

ただし、同時に、1週間の所定労働時間が30時間未満という条件がありますので、1週間の所定労働時間が30時間以上の者については、1週間の所定労働日数が4日であっても、原則的な付与日数が適用されます。

そして、比例付与を適用する場合の具体的な付与日数は、1週間の所定労働日数に応じて、次のように定められています。

1週間の所定労働日数
(1年間の所定労働日数)
勤続年数(年)
0.51.52.53.54.55.56.5年以上
4日(169〜216日)7日8日9日10日12日13日15日
3日(121〜16日)5日6日6日8日9日10日11日
2日( 73〜120日)3日4日4日5日6日6日7日
1日( 48〜 7日)1日2日2日2日3日3日3日

どの区分も、2週間弱で使い切る日数になっています。

1週間の所定労働日数が決まっていない場合は、過去1年間の所定労働日数を数えて、それに対応する区分(1週間の所定労働日数)に当てはめます。1年間の所定労働日数が216日を超える場合は、原則的な付与日数が適用されます。

したがって、1週間の所定労働日数が2日の従業員(パートタイマーやアルバイト等の雇用形態は問いません)については、採用して6ヶ月が経過した日に、3日の年次有給休暇を付与する必要があります。勤続年数が1.5年になると、付与日数は4日に増えます。

就業規則の規定

労働基準法の取扱いは以上のとおりですが、就業規則の年次有給休暇の規定はどのようになっていますか?

就業規則に比例付与の表を記載している場合は、その規定(比例付与の表)に基づいて対応しますので、週2日勤務の者には、採用して6ヶ月が経過した日に、3日の年次有給休暇を付与することになります。

しかし、就業規則に、原則的な付与日数の表を記載して、比例付与の表の記載がない場合は、就業規則に基づいて対応するよう求められる恐れがあります。

また、パートタイマー、アルバイト、嘱託従業員など、その者に適用する就業規則がない場合は、正社員用の就業規則が適用される可能性が高いです。

どちらにしても、原則的な付与日数の表しかなくて、比例付与の表がない場合は、就業規則に基づいて、週2日勤務の者にも、採用して6ヶ月が経過した日に、10日の年次有給休暇を付与するよう求められます。

労働基準法は、労働条件の最低基準を定めた法律ですが、就業規則は、会社の労働条件を(自らの意思で)定めたものです。

そのため、労働基準法で定められている労働条件より、就業規則で定めている労働条件の方が従業員にとって有利な場合は、就業規則の内容が優先して適用されます。

会社が意図していなくても、就業規則で定めている場合は、就業規則に基づいて対応しないといけません。モデル就業規則や他社の就業規則を流用して作成した場合に、よくある失敗です。

もし、週2日勤務の従業員について、採用して6ヶ月が経過した日に、3日の年次有給休暇を付与するようにしたければ、就業規則に比例付与の表を追加する必要があります。

ただし、その場合は、就業規則を不利益に変更することになりますので、従業員と話し合って、慎重に進める必要があります。


執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。

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