派遣社員用就業規則の意見書は誰に聴く?過半数代表者と労働者派遣法30条の6
派遣社員用の就業規則を作成したときの意見書は誰に聴けばいいですか?
- 当社は派遣会社で、派遣社員用の就業規則を作成しました。労働基準監督署に提出する意見書の意見は、派遣社員の過半数代表者に聴けば良いですか?会社全体の過半数代表者ですか?
- 労働基準法上は、会社全体の従業員の過半数代表者から意見を聴くことになっています。
労働基準法の規定|過半数代表者から意見聴取が必要
労働基準法によって、従業員数が10人以上の会社が就業規則を作成・変更したときは、従業員の過半数代表者に意見を聴いて、労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。
派遣会社においては、派遣社員とそうでない従業員の労働条件が異なりますので、派遣社員用の就業規則を作成するケースが多いです。派遣社員用の就業規則も就業規則の一部ですので、就業規則に関して、労働基準法で定められている手続きが求められます。
意見聴取をする過半数代表者については、派遣社員も含めて会社が雇用する全ての労働者の中から代表者を選出して、その者に意見を聴く必要があります。従業員の過半数代表者が派遣社員かどうかは関係ありません。
労働基準法上は、過半数の支持・信任を得ていることが条件となります。派遣社員用の就業規則も、賃金規程や育児・介護休業規程と同様に就業規則の一部と位置付けられます。
労働者派遣法の規定|派遣社員の過半数代表者への意見聴取
派遣会社で、派遣社員用の就業規則を作成・変更したときに、派遣社員でない過半数代表者に意見を聴いても、就労の実態を把握していなくて、派遣社員の総意を反映した意見が出ることは期待しにくいです。
派遣社員用の就業規則を作成・変更したときは、適用される派遣社員の意見を聴くことが望ましいです。そのため、労働者派遣法第30条の6によって、次のように規定されています。
派遣元事業主は、派遣労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、当該事業所において雇用する派遣労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めなければならない。
派遣会社が派遣社員用の就業規則を作成・変更するときは、派遣社員の過半数代表者の意見を聴くよう努めることが義務付けられています。あくまで努力義務ですので、必ず、派遣社員の過半数代表者から意見を聴かなければならないものではありません。
派遣社員の過半数代表者から意見を聴いたけれども、会社全体の従業員の過半数代表者から意見を聴いていない場合は、労働基準法違反となります。
なお、派遣先企業においては、派遣社員と雇用関係がありませんので、派遣社員用の就業規則を作成する必要はありません。派遣社員用の就業規則は、派遣元企業で作成します。
派遣社員の意見聴取を怠った場合、罰則はあるか?
労働者派遣法第30条の6は努力義務ですので、派遣社員の過半数代表者に意見を聴かなかったとしても、罰則が科されることはありません。
しかし、会社全体の過半数代表者に意見を聴かなかった場合は、労働基準法第90条違反として30万円以下の罰金が設定されています(労働基準法第120条)。義務の強さが異なる点に注意が必要です。
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執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。メールを用いた関連サービスは20年以上の実績があり、全国の中小零細企業を対象に、これまで900社以上の就業規則の作成・変更に携わってきました。

