就業規則の一括届出

就業規則の一括届出

  • 当社は本社以外に支店がありますが、支店でも就業規則を届け出ないといけませんか?
  • 就業規則は事業場ごとに届け出る方法が原則ですが、一定の条件を満たしている場合は、本社で一括して届け出る方法が認められています。

就業規則の一括届出

労働基準法によって、「常時10人以上の労働者を使用する使用者」は、就業規則を作成して、労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。

そして、労働基準法(第90条)によって、次のように規定されています。

「使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。」

事業場を単位として従業員の過半数代表者を選出して、意見を聴くことになっていることから、就業規則の作成も事業場を単位としていることが分かります。

したがって、本社、支店ともに従業員数が10人以上の場合は、それぞれの事業場を管轄する労働基準監督署に、就業規則を届け出ないといけません。他に工場や営業所等があって、それぞれ事業場単位で見て、従業員数が10人以上の場合も同じです。

その場合に、本社で就業規則を作成して、同じ就業規則をそのまま支店等で使っているケースが多いと思います。支店が近くにあって、同じ管轄内で同じ労働基準監督署に届け出る場合は、同じ就業規則を4部印刷したりして、余計に面倒と感じることでしょう。

そのため、従来から、労働基準監督署の管轄が同じ場合に限って、本社機能のある事業場がまとめて就業規則を届け出る方法が認められていました。

これが通達によって、本社や支店等で同じ内容の就業規則で運用している場合は、労働基準監督署の管轄が異なっても、本社で一括して届け出る方法が認められるようになりました。

ただし、本社や支店等で就業規則の内容が異なる場合は、一括届出はできません。

就業規則の一括届出の方法

就業規則の一括届出をするときは、次の書類を用意して、本社の所在地を管轄する労働基準監督署に提出します。

  1. 事業場の数と同じ部数の就業規則1部+控えの就業規則1部
    (同じ管轄内に複数の事業場がある場合は、管轄する労働基準監督署ごとに1部で構いません。)
  2. それぞれの事業場の意見書1部+本社用の控え1部
    (それぞれの事業場ごとに、過半数代表者を選出して意見を聴く必要があります。)
  3. それぞれの事業場の名称、所在地、管轄する労働基準監督署が分かる一覧表2部
  4. 本社の就業規則届2部
    (余白に、本社で作成した就業規則と各事業場の就業規則が同一の内容である旨を明記します。)

4.は、特に決められた様式はありません。作成届の場合は「各事業場の就業規則は、本社の就業規則と同一の内容です」、変更届の場合は「各事業場の就業規則は、変更前及び変更後とも、本社の就業規則と同一の内容です」のように記載します。

提出後の就業規則と意見書の控えは、本社分のみ交付されます。就業規則の変更届を提出する場合は、就業規則の代わりに新旧対照表を作成します。

就業規則の一括届出は、電子申請で行うことも可能です。


執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。

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