不利益に変更した就業規則の届出
不利益に変更した就業規則の届出
- 就業規則を従業員にとって不利益に変更しましたが、労働基準監督署で受け付けてもらえますか?
- 就業規則を不利益に変更したとしても、それを理由にして、労働基準監督署で受付を拒否されることはありません。
不利益に変更した就業規則の届出
就業規則を作成又は変更したときは、労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。
不利益に変更した就業規則の内容が、労働基準法に違反している場合は、労働基準監督署から修正するよう指導されることがあります。労働基準法に違反していなければ、受け付けてもらえます。
基本的には労使間の自治が優先されますので、不利益に変更したことを否定するような指導が行われることはありません。
ただし、労働契約法(第9条)によって、就業規則を不利益に変更する場合は、原則的には従業員から同意を得る必要があると規定されていますので、この規定に関する説明を受けることがあるかもしれません。
労働基準監督の承認
作成又は変更した就業規則を労働基準監督署に届け出て、受付が完了すると、「労働基準監督署に認められた」と考える経営者がいます。
労働基準法によって、就業規則は届け出ることが義務付けられているもので、労働基準監督署がその就業規則を承認する(お墨付きを与える)というような効果はありません。
後になって、法律違反の規定が発覚したときは、一旦、受け付けた就業規則であっても、労働基準監督署から修正を求められることがあります。「労働基準監督署で受け付けてもらったのに」と言っても通用しません。
労働基準監督署の調査
また、就業規則を不利益に変更して届け出ると、「労働基準監督署の調査に入られるのでは?」と心配する経営者がいます。
労働基準監督署の調査は、「定期的に行うもの」と「従業員の申告に基づいて行うもの」の2種類となっていますので、就業規則を不利益に変更したという理由で調査に入られることは考えにくいです。
可能性としては、就業規則の不利益変更に反対する従業員が、会社の労働基準法違反を労働基準監督署に申告することが考えられます。
労働契約法(第9条)にも規定されているとおり、就業規則を変更しようとするときは、従業員と十分に話し合って、従業員から同意を得た上で変更するようにしてください。
執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。