就業規則と内規の違い
就業規則と内規の違い
- 就業規則とは別に、内規として従業員に公表していないものがありますが、どのような位置付けになるのでしょうか?
- 就業規則でなければ、内規の内容について、従業員に義務付けることはできませんし、会社も義務付けられることはありません。
就業規則と内規の違い
労働基準法では、就業規則の手続きとして、次の3つの事項が定められています。
原則的には、これらを満たしているものが就業規則と認められて、就業規則として効力が生じます。
つまり、労働条件や職場のルールなど、労使間の契約内容として成立しますので、作成した就業規則に基づいて、違反行為をした従業員に対して会社は懲戒処分を行ったり、従業員は休暇を請求したりすることができます。
また、従業員数が10人以上の会社は、上の3つの手続きが義務付けられていますが、9人以下の会社で従業員に周知している場合は、1.2.の手続きをしていなくても、労働基準法上の就業規則と同様の効力があるとされています。
従業員に周知(公表)している内規は、就業規則として成立する可能性がありますが、従業員に周知していない内規は、就業規則としての効力が生じることはありません。指針やガイドラインのようなもので、法的な強制力はありません。
したがって、内規(名称は関係ありません)として、賞与の算定方法や昇給の基準、人事考課の基準等の経営サイドのルールを定めていたとしても、会社はその内容に拘束されることはありません。
従業員に内規を周知(公表)していなければ、そのように取り扱うよう求められることは考えにくいですが、求められても会社は応じる義務はありません。
反対に、会社から従業員に対して、内規に従うよう命じることはできません。ただし、業務命令として適正な場合は、業務として命じることは可能です。
内規として位置付けたいのであれば、従業員には公表(周知)しないで、制度として機能させたいのであれば、1.2.3.の手続きをして、就業規則として位置付けるようにしてください。
執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。