就業規則の周知
就業規則の周知
- 就業規則を作成・変更した後の手続きは、どうすればいいですか?
- 作成・変更した就業規則について、社員の過半数を代表する者から意見を聴いて、労働基準監督署に届け出た後は、その就業規則を社員に周知して下さい。
就業規則の手続き
社員数が10人以上になると、労働基準法によって、就業規則の作成と次の3つの手続きが義務付けられます。
- 就業規則の意見書を作成する
- 就業規則を労働基準監督署に届け出る
- 就業規則を社員に周知する
ここでは3番目の「就業規則を社員に周知する」について、解説しています。
就業規則の社員への周知
就業規則に関する手続きとして、就業規則を社員に周知することが、労働基準法で義務付けられています。そして、労働基準法の施行規則では、次のような方法で就業規則を社員に周知することが定められています。
- 職場の書棚等の見やすい場所に掲示するか、備え付ける
- 就業規則を社員に配布する
- パソコン等に保存して、いつでも見られるようにする
要するに、社員が就業規則を見たいと思ったときに、いつでも見られる状態にしておかないといけないということです。なお、この周知義務は、就業規則の内容をそれぞれの社員に理解させることまでは求められていません。
例えば、社員が、違反行為として就業規則に定められていることを知らずに、その行為をしたとします。このような場合に、会社は違反行為として懲戒処分が行えるのでしょうか。結論としては可能です。
上のような方法で就業規則を周知していれば、社員は就業規則の内容を確認しようと思えば確認できたはずで、酷な言い方になりますが、知らない社員が悪いということになります。法律と同じで、「知らない」という言い訳は通用しないということです。
会社としては、社員が就業規則を見たいと思ったときに見られる状態にしておけば、それで義務を果たしたことになります。
社員に周知していない就業規則
では、社員に周知していない就業規則はどうなるのでしょうか。周知義務を怠った就業規則は、無効と判断されます。
社員に就業規則を周知していなければ、例えば、懲戒処分を行う事由として、どのようなことが定められているのか、社員には分かるはずがありません。何が違反行為か分からないような状況で、懲戒処分を行うことは酷ですので、社員に周知していない就業規則(懲戒処分)は認められません。周知をした上で、社員が知らないということとは状況が違います。
周知義務を怠っていると、懲戒処分だけではなく他の内容も無効になります。例えば、残業命令などの就業規則に基づいた命令ができませんし、変形労働時間制の適用なども無効になってしまいます。
たまに就業規則を金庫に保管したりして、社員に見せたがらない会社がありますが、トラブルになった場合は、そのような就業規則は無効と判断されます。隠していると意味がありません(効力がありません)ので、就業規則の周知は怠らないようにして下さい。
もし、法改正に対応できていなかったりして、就業規則の内容に自信がない(不備がある)のであれば、専門家の手を借りて見直すようおすすめします。自信を持って公開でき、従業員からの質問にも自信を持って答えられる就業規則を作成いたします。
なお、就業規則の周知義務を怠っていると、労働基準法違反として30万円以下の罰金が科せられます。