就業規則等点検指導員とは

就業規則等点検指導員とは

  • 労働基準監督署に就業規則等点検指導員という職員がいたのですが、何をするのでしょうか?
  • 就業規則等点検指導員は、就業規則の届出があったときに、指導、助言、点検等を行うために、労働基準監督署に配置されています。

就業規則等点検指導員とは

就業規則等点検指導員の任期は1年となっていて、開業したての社会保険労務士がアルバイトで行っているケースもあるようです。

労働基準監督署に就業規則の届出があったときは、就業規則等点検指導員が対応して、次の項目に関して問題がないか点検することになっています。

  1. 管轄・・・管轄内の労働基準監督署に届け出ているか?
  2. 意見書・・・従業員の過半数代表者を適切な方法で選出しているか?
  3. 労働時間
    • 始業時刻、終業時刻・・・具体的な時刻や決定方法を記載しているか?
    • 所定労働時間・・・1日8時間以内、1週40時間以内になっているか?
    • 変形労働時間制・・・1ヶ月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制を採用している場合は、その内容が適正か?起算日を明示しているか?
    • 裁量労働制・・・専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制を採用している場合は、その内容が適正か?
  4. 休憩時間・・・労働時間が8時間を超える場合は60分以上、6時間を超える場合は45分以上の休憩を労働時間の途中に与えているか?
  5. 休日・休暇・休業
    • 年次有給休暇・・・付与のタイミングと日数が適正か?労働基準法の基準を下回っていないか?
    • 育児休業・・・育児休業や子の看護休暇等の内容が適正か?記載があるか?
    • 介護休業・・・介護休業や介護休暇等の内容が適正か?記載があるか?
    • その他の休暇・・・労働基準法等の法律で義務付けられている生理休暇や産前産後休業等の記載があるか?
  6. 賃金
    • 締切日、支払日・・・賃金の締切日と支払日を記載しているか?
    • 決定方法、計算方法、支払方法・・・賃金(諸手当)ごとに決定方法や計算方法を記載して、賃金の支払方法(口座振込等)を記載しているか?
    • 割増賃金・・・計算の基礎となる賃金(手当)を適正に算入しているか?割増賃金ごとの割増率を正しく記載しているか?
    • 別規程の添付・・・退職金規程等の別規程がある場合は添付されているか?
  7. 退職
    • 定年制・・・定年年齢が60歳以上か?希望者について65歳まで雇用を継続する制度を設けているか?
    • 解雇の事由・・・解雇の事由を記載しているか?
  8. その他
    • 制裁・・・制裁(懲戒処分)の種類と事由を記載しているか?
    • その他

これらを点検して、労働基準法等の法律に違反し、改善する必要がある事項については、就業規則等点検指導員から指導や助言が行われます。

就業規則の届出だけではなく、裁量労働制に関する届出があったときも、就業規則等点検指導員が対応することになっています。裁量労働制に関する届出についても、就業規則の届出があったときと同じように、点検項目が定められています。


執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。

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