労働基準法と就業規則

労働基準法と就業規則

  • 当社の就業規則では、年次有給休暇は毎年10日しか与えないことになっています。労働基準法では、勤続年数が6.5年になると、20日の年次有給休暇を与えることになっているようなのですが、このような就業規則は問題ないのでしょうか?
  • 問題があります。そのような内容は、労働基準法に違反するもので認められません。労働基準法に違反する就業規則は、その部分は無効になって労働基準法が適用されます。

労働基準法と就業規則の関係

労働基準法というのは、労働条件の最低基準を定めた法律です。したがって、就業規則の内容は、労働基準法で定められた内容より、社員にとって有利に定めていないといけません。

そして、労働基準法で定められた最低基準より、不利な取り扱いをすることになっている就業規則については、その部分は無効になって、労働基準法の内容が適用されることになっています。労働基準法第13条で、そのことが規定されています。

例えば、労働基準法では、年次有給休暇は、6ヶ月勤務したときは10日、1.5年勤務で11日、2.5年勤務で12日、3.5年勤務で14日、4.5年勤務で16日、5.5年勤務で18日、6.5年勤務で20日の日数を付与することが義務付けられています。

つまり、何年勤務しても毎年10日しか年次有給休暇を与えないことを、就業規則で規定していても、社員は、上のように勤続年数に応じた日数の年次有給休暇を取得できます。会社が、10日を超える年次有給休暇の取得を拒否すると、労働基準法違反になります。

労働基準監督署は就業規則を受け取ってくれたけれど?

就業規則を作成したり、変更したりして、労働基準監督署に就業規則を届け出ると、労働基準監督署の職員によって内容の確認が行われます。

そのときに、職員が、労働基準法に違反している部分に気付いた場合は指摘してもらえますが、違反に気付かないで、そのまま就業規則を受け取るケースがあります。

就業規則にハンコを押して、労働基準監督署に受け取ってもらえると、お墨付きをもらったような気分になりますが、それは就業規則を受け取った事実を示すだけで、労働基準監督署がその就業規則を「承認」したことを示すものではありません。ハンコを見ると、「受付」となっているだけで、「承認」とはなってないはずです。

労働基準監督署の職員が暇なときは、届け出た就業規則をじっくり見ますが、忙しいときはサラッと流し読み程度で終わってしまうことがあります。

そして、後日に、労働基準監督署の調査に入られて、労働基準法に違反していることが発覚すれば、是正勧告が出されます。「この就業規則で、労働基準監督署が受け取った」と言っても認められません。

要するに、自分の責任で、労働基準法などの法律に適合した就業規則を作成しないといけないということです。また、労働基準法などの法律は、数年ごとに改正されますので、その都度、法律に適応した就業規則に変更する必要があります。

就業規則の効力について