モチベーションが高まる就業規則

モチベーションが高まる就業規則

  • 従業員のモチベーション(やる気、意欲)が高まる就業規則、業績が上がる就業規則を作成したいのですが...?
  • 就業規則を作っただけで、従業員のモチベーション(やる気、意欲)が高まったり、業績が上がることは考えにくいです。

モチベーションが高まる就業規則

衛生要因と動機付け要因

職場環境には、衛生要因と動機付け要因があります。

衛生要因とは、それが満たされないと不満を感じる要因です。例えば、会社の方針、作業条件、人間関係、賃金、雇用の安定等が挙げられています。これらが満たされたとしても、モチベーション(やる気、意欲)が高まることはありません。

動機付け要因とは、それが満たされると動機付けが行われて、モチベーション(やる気、意欲)が高まる要因です。例えば、仕事の達成、責任の増大、やりがいのある仕事、成長等が挙げられています。これらが満たされなくても、不満を感じることはありません。

そして、就業規則は、衛生要因に該当します。したがって、衛生要因と動機付け要因の理論に基づいて考えると、就業規則を整備することによって、不満を解消して、安心感を与えることはできても、従業員のモチベーションを高めることはできません。

就業規則はモチベーションを高める土台

しかし、就業規則は、会社が発展していくために、重要なものであることは間違いありません。

例えば、通勤手当を不正に受け取っている従業員がいて、その状態を放置していると、他の従業員が「私もごまかそう」と考えたり、会社に対して不信感を持たれたりします。そのような従業員が増えると、会社の発展は期待できません。

そうなる前に、就業規則に違反する事実が発覚したときは、その従業員に対して、会社は就業規則に基づいて、始末書を提出させる等の懲戒処分を行います。そうすることで、職場に規律や秩序が定着して、組織の一体感が生まれます。

つまり、就業規則は、従業員のモチベーションを高める土台ということです。

日頃のマネジメントが重要

就業規則の前文に、会社の経営理念、価値観、ビジョン等を記載することがありますが、それでも限界があると思います。経営理念、価値観、ビジョン等を従業員と共有することは、企業経営において大切なことです。

しかし、就業規則に経営理念、価値観、ビジョン等を記載したとしても、従業員がその就業規則を読んだだけでモチベーションが高まるとは思えません。また、就業規則は、日常的に読まれるものではありません。

モチベーションを高めるために一番大切なことは、日頃のマネジメントではないでしょうか。これについては、【−謙虚なマネジャーのための−ヤル気を引き出すマネジメント】で提供しています。

従業員のモチベーションを高めたり、業績を上げたりするためには、就業規則とは別の手段・方法を検討した方が良いと思います。


執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。

就業規則の素朴な疑問