定期的な就業規則の見直し
定期的な就業規則の見直し
- 就業規則は定期的に見直して、変更しないといけないのでしょうか?
- 労働基準法や育児介護休業法は数年に1回法改正が行われます。また、昔と比べて、個人情報、ハラスメント、メンタルヘルス等が重視されるようになりました。これらに対応するために、就業規則は定期的に見直す必要があります。
定期的な就業規則の見直し
法律の改正に対応
一番分かりやすい理由としては、労働基準法や育児介護休業法等の法律の改正に対応するために、就業規則を見直して、定期的に変更する必要があります。
労働基準法等の法律の改正があったときは、その都度、就業規則と照らし合わせるべきですが、部分的な法改正や就業規則の変更を伴わない法改正があったりしますので、社会保険労務士と顧問契約をしていない中小零細企業にとっては難しいかもしれません。
それでも、労働基準法や育児介護休業法等の労働関係の法律は、5年に1回は大きな改正がありますので、最低でも5年に1回は就業規則を見直して、法律の改正に合わせて変更・改定する必要があります。
もし、法律が改正されたときに、就業規則の変更を怠っていると、会社は改正前の対応をして、法律違反を犯してしまう可能性があります。
トラブル内容の変化に対応
次の理由として、時代によって労使間で生じるトラブルの内容が変化しますので、就業規則を整備して、それに対応できるようにする必要があります。
例えば、休職です。昔は結核が特別な病気でしたので、昔から変更していない就業規則を見ると、結核の場合は特別に休職期間を長く設定しているものがあります。その当時は、それが時代に合っていたのでしょう。
しかし、今は、結核は特別に休職期間を長く設定する必要性がある病気ではありません。一方で、今は精神疾患が増えています。それに伴って、精神疾患(メンタルヘルス)に関するトラブルが増えています。
従来の就業規則では、「欠勤が1ヶ月に及んだときは休職を命じる」というような規定が一般的でした。身体的な病気の場合はこれで対応できますが、精神疾患の場合は、無理をすれば欠勤が1ヶ月になる直前に出勤することができます。
そうなると、会社は休職を命じることができませんので、本人の健康状態を悪化させる恐れがあります。そのような事態を避けるために、欠勤が1ヶ月に及ばなくても休職を命じられるような規定にする必要があります。
一例として休職を取り上げましたが、昔と比較して現在は、個人情報の保護が重視されて、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメント等のハラスメントに関するトラブル(相談)が増えています。
現在のトラブルの内容に対応できるように、時代に合わせて就業規則を整備する必要があります。また、将来、社会問題となるような次のトラブル(事象)が発生すると思いますので、それに合わせて就業規則を見直すべきです。
労働基準監督署に就業規則を提出したのはいつでしょうか。5年以上就業規則を変更していない場合は、見直した方が良いと思います。
執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。