役員(取締役)と就業規則

役員(取締役)と就業規則

  • 役員(取締役)にも就業規則を適用できますか?
  • 就業規則は「労働者」に適用するものです。役員(取締役)は「使用者」に該当しますので、就業規則は適用できません。

役員(取締役)と就業規則

労働基準法では、「労働者」と「使用者」が次のように定義されています。

会社の代表取締役が使用者に該当することは明らかですが、他の役員(取締役)も使用(雇用)する側の者として、使用者に該当します。

使用(雇用)される側の労働者は、労働基準法労働契約法によって保護されていますが、役員(取締役)は保護の対象外で、労働基準法や労働契約法は使用者として適用されます。

また、従業員(労働者)と会社は、雇用契約で繋がっています。一方、役員(取締役)と会社は、委任契約で繋がっています。

労働基準法によって、解雇予告や解雇制限の規定があって、会社が従業員(労働者)を解雇するときは正当な理由が必要とされています。一方、役員(取締役)については、株主総会の決議によって解任が可能です。

役員(取締役)も従業員(労働者)として就業規則(労働基準法)を適用すると、不都合が生じてしまいます。就業規則は労働者の労働条件を定めたものですので、役員(取締役)には適用されません。

そのため、役員(取締役)の取扱いについては、就業規則とは別に、役員規程を作成して、選任や就任、退任、服務、役員報酬等に関する事項を定めている会社が一般的です。

ただし、出張旅費規程については、それに基づいて出張をした役員(取締役)に日当を支払ったりしても、特に不都合は生じないと思います。

同様に、労働基準法や労働契約法等の法律が及ばない規程(就業規則)があれば、役員(取締役)に適用することも考えられます。

また、従業員兼務役員として、従業員(労働者)と役員(取締役)の両方の身分がある者については、従業員(労働者)の身分に対して就業規則を適用することができます。

更に、執行役員を置いている会社がありますが、会社と執行役員は委任関係ではなく、雇用関係にありますので、従業員(労働者)として扱われます。したがって、執行役員には就業規則が適用されます。


執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。

就業規則の適用について