休暇・休業の記載|就業規則の規定例

休暇・休業の記載

  • 生理休暇や育児休業について、就業規則に記載しないといけませんか?
  • 法律で定められている休暇や休業については、原則的には、就業規則に記載しないといけません。

休暇・休業の記載

労働基準法(第89条)によって、就業規則に必ず記載しなければならない事項が定められていて、その1つに「休暇に関する事項」が挙げられています。

労働基準法等の法律で定められている休暇は、これに該当しますので、生理休暇や育児休業に関する事項について、就業規則に記載する必要があります。

労働基準法等の法律と同じ条件で休暇を与えている会社が多いですが、中には、休暇の日数を増やしたり、有給としたり、法律を上回る内容で定めている会社もあります。そのような取扱いを就業規則で明確にする必要があります。

その他の産前産後休業、介護休業、裁判員休暇、年次有給休暇等についても同じです。特に、裁判員休暇(裁判員法で定められています)に関する記載が漏れているものが多いです。

ただし、就業規則に、「この就業規則に定めのない事項については、労働基準法等の法令の定めるところによる」といった規定を設けている場合は、労働基準法等の法令が適用されますので、就業規則に休暇や休業の記載がなくても問題はありません。

就業規則に休暇や休業の記載がないとしても、従業員が生理休暇の取得を請求したときは、労働基準法に基づいて、会社は生理休暇を与えないといけません。

しかし、従業員が生理休暇の取得を請求したときに、就業規則に生理休暇の記載がないと、上司が法律を知らないで、従業員の請求を拒否する恐れがあります。生理休暇の請求を拒否すると、労働基準法違反になってしまいます。

したがって、間違った取扱いを防止するために、生理休暇に限りませんが、労働基準法や育児介護休業法等の法律で定められている休暇や休業については、全て就業規則に記載することが望ましいです。

特に育児休業や介護休業については、その根拠となる育児介護休業法が複雑な構成になっていますので、その都度、法律の条文を見て対応することは困難です。育児介護休業法だけではなく、育児介護休業法の施行規則も理解している必要があります。

そのため、育児介護休業規程を作成して、必要な手続きや取扱いについて定めることが望ましいです。育児介護休業規程に基づいて、円滑に対応できるようになります。

割増賃金・年次有給休暇の記載

また、経営者から「割増賃金や年次有給休暇について、従業員から請求されると困るから、就業規則に記載したくない」と言われることがあります。

しかし、割増賃金の支払いや年次有給休暇の付与は、労働基準法で義務付けられている制度ですので、就業規則に記載していなくても、従業員は請求できます。

従業員は知らないだろうと思って、会社が割増賃金の支払いや年次有給休暇の付与を拒否していると、必ずトラブルになります。調べれば直ぐに分かりますので、会社にとって都合が悪いことを隠し通すことは不可能です。

会社は法律を遵守して、従業員の正当な権利を認める代わりに、仕事では成果を上げて欲しいという考え方が望ましいと思います。

従業員の権利は認めないけれども、仕事の成果は求めるという考えは成り立たちません。会社に対して不信感を持っている従業員が、仕事で活躍することは考えにくいです。


執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。

その他の休暇について