育児・介護休業規程の作成|就業規則の規定例
育児・介護休業規程の作成
- 就業規則(本則)とは別に、育児・介護休業規程は必要でしょうか?
- 育児・介護休業規程は、労働基準法上は必須ではありませんが、作成した方が良いです。
育児・介護休業規程の作成
労働基準法によって、就業規則に必ず規定しなければならない事項が、次のように列挙されています。
- 労働時間に関する事項
- 始業時刻及び終業時刻
- 休憩時間
- 休日
- 休暇(年次有給休暇、育児休業、生理休暇など)
- 交替勤務の場合は交替勤務に関する事項
- 賃金(基本給や手当)に関する事項
- 賃金の決定方法又は計算方法
- 賃金の支払方法
- 賃金の締切日及び支払日
- 昇給に関する事項
- 退職に関する事項
- 退職及び解雇の事由
- 退職及び解雇の際の手続き
育児休業と介護休業は、この休暇に当たりますので、育児休業と介護休業に関することは、就業規則に記載しないといけません。
どのように育児休業や介護休業を与えるのか、つまり、育児休業や介護休業の対象者、休業期間、手続き等について、記載することになります。
育児休業や介護休業は、育児介護休業法で定められた制度で、要件を満たしている従業員から請求があったときは、会社は与えないといけません。
育児介護休業法で定められている制度は、育児休業と介護休業だけではありません。子の看護休暇、介護休暇、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定外労働の制限、短時間勤務も定められています。
これらを就業規則の本則の中に入れると、対象者が限定される割にかさばりますので、就業規則(本則)から切り離して、育児介護休業規程を作成するケースが一般的です。
一部には、育児・介護休業規程を作成しないで、「育児・介護休業等に関する取扱いの詳細は、育児・介護休業法による」と定めている会社もあります。
どのように育児休業や介護休業を与えるのか記載することになっていますが、「当社は育児・介護休業法に基づいて、育児・介護休業等を与えます」ということですので、この方法でも法律的に問題はありません。
しかし、一度見てもらえれば分かると思いますが、育児・介護休業法は複雑な構成になっていますので、実際に、育児休業や介護休業の対象者が現れたときに、会社はどのように対応すれば良いのか混乱することが予想されます。
育児休業や介護休業の対象者が現れたときに、会社が適切に対応できるように、就業規則(本則)とは別に、読みやすく整理した育児・介護休業規程を作成した方が良いです。ただし、育児介護休業法自体が複雑ですので、なかなか簡潔に作成することは難しいです。
また、期間雇用者(一部例外があります)と日雇労働者については、育児・介護休業規程(就業規則)で適用しないことを定めていれば、育児休業や介護休業の申出を拒否できます。
育児・介護休業規程を作成していない場合に、適用除外の規定が漏れているケースが多いです。そうなると、期間雇用者(一部例外があります)や日雇労働者であっても、育児休業や介護休業の申出を拒否できないようになります。
執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。