無給の慶弔休暇|就業規則の規定例
無給の慶弔休暇
- 就業規則を作成しようと思っていますが、慶弔休暇を設けようか迷っています。慶弔休暇は無給でも問題はないでしょうか?
- 無給とするのでしたら、就業規則には慶弔休暇の記載はしない方が良いと思います。
無給の慶弔休暇
家族が死亡したり、本人が結婚したり、配偶者が出産したりしたときは、慶弔休暇を与えている会社があります。慶弔休暇は、労働基準法等によって与えることが義務付けられているものではありません。
したがって、慶弔休暇を与えるかどうかは、会社の判断で決定できます。
労働基準法(第89条)によって、就業規則には、休暇に関する事項を記載することが義務付けられていますので、慶弔休暇を与える場合は、就業規則に慶弔休暇に関する事項を記載する必要があります。
慶弔休暇を取得した日は、通常の勤務をしたものとして、有給で処理をしている会社が一般的ですが、慶弔休暇を与えること自体が義務付けられていませんので、法律的には無給で処理をすることも可能です。
欠勤扱いしないこと(賞与や昇給等の評価をするときに不利に取り扱わないこと)を明確にするために、就業規則に慶弔休暇を設けて、無給で取得できることを規定しているケースがあります。
しかし、慶弔休暇が無給とすると、年次有給休暇が残っている従業員は、年次有給休暇を取得します。無給の慶弔休暇は、年次有給休暇の権利のない者しか利用する機会がありません。
また、就業規則に慶弔休暇の記載があると、慶弔休暇は有給で処理をする会社が一般的ですので、「有給で処理される」と思い込んでトラブルになる恐れがあります。トラブルにならなくても、「期待外れ」と会社に対して不満を持たれるかもしれません。
有給の慶弔休暇は従業員に喜ばれますので、できれば、就業規則に記載した方が良いと思いますが、無給の慶弔休暇はトラブルの原因になりかねませんので、就業規則には記載しない方が良いと思います。
就業規則を作成して慶弔休暇の記載がなければ、「当社には慶弔休暇がない」と理解しますので、トラブルになる可能性を抑えられます。
ここでは慶弔休暇として説明しましたが、特別休暇や忌引休暇など、名称が違っていても同じです。
執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。