フレックスタイム制の導入条件|就業規則の規定例
フレックスタイム制を採用できる条件
- フレックスタイム制を導入したいのですが、就業規則には何を規定すれば良いでしょうか?
- 就業規則には、始業時刻及び終業時刻を従業員の決定に委ねることを記載します。それに加えて、従業員の過半数代表者と労使協定を締結する必要があります。
就業規則の規定
労働基準法(第89条)によって、就業規則に必ず記載しなければならない事項として、労働時間に関する事項が挙げられています。
フレックスタイム制は労働時間に関することですので、フレックスタイム制を導入する場合は、就業規則にフレックスタイム制の根幹である「始業時刻及び終業時刻を従業員の決定に委ねること」を記載します。
また、コアタイム(勤務しなければならない時間帯)やフレキシブルタイム(本人の意思で自由に勤務できる時間帯)を設定する場合は、それぞれの時間帯の開始時刻と終了時刻を記載します。
労使協定の締結
フレックスタイム制は特殊な制度のため、労働基準法(第32条の3)によって、従業員の過半数代表者(又は過半数労働組合)と労使協定を締結することが条件として定められています。
そして、労使協定で定めなければならない事項が、次のように列挙されています。
- フレックスタイム制を適用する従業員の範囲
- 清算期間(3ヶ月以内)
- 清算期間における総労働時間
- 標準となる1日の労働時間
- コアタイムを定める場合は、その時間帯の開始時刻と終了時刻
- フレキシブルタイムを定める場合は、その時間帯の開始時刻と終了時刻
就業規則の規定だけでは不十分で、適正に労使協定を締結していない場合は、フレックスタイム制を適用できません。結果的に、1日8時間、1週40時間の労働時間の原則が適用されて、これを超えた時間に対して、割増賃金の支払いが義務付けられます。
適正に労使協定を締結して、フレックスタイム制を導入した場合は、清算期間として定めた期間を平均して、1週40時間以内であれば、労働時間が1日8時間を超えた日、1週40時間を超えた週があったとしても、割増賃金を支払う必要はありません。
なお、労使協定については、清算期間が1ヶ月以内か1ヶ月を超えるのかによって、取扱いが異なります。清算期間が1ヶ月以内の場合は、労使協定を届け出る必要はありません。
しかし、清算期間を3ヶ月とする等、1ヶ月を超える場合は、労働基準監督署に労使協定を届け出ることが義務付けられます。その場合は、36協定と同様に、毎年、労働基準監督署に届け出ないといけません。
労働基準監督署への届出は面倒ですし、届出を忘れると、フレックスタイム制を適用できませんので、差し支えがなければ、フレックスタイム制の清算期間は1ヶ月とするのが安全です。
執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。