シフト制の労働時間|就業規則の規定例

シフト制の労働時間

  • 就業規則には、労働時間に関する事項を記載しないといけないようですが、当社は小売業でシフト制のため、個人ごとに労働時間が異なります。就業規則の記載はどうすれば良いでしょうか?
  • 就業規則には、労働時間の決定方法を記載すれば問題はありません。

シフト制の労働時間の規定例

労働基準法(第89条)によって、就業規則に必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)として、「始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項」が定められています。

例えば、「始業時刻は9時00分、終業時刻は18時00分、休憩時間は12時00分から13時00分まで」と画一的に決まっていれば、その時刻を記載します。

また、工場、事務所、職種、部署等によって、始業時刻・終業時刻・休憩時間が異なる場合は、就業規則の労働時間の規定内に表を作成して、次のように、区分ごとに始業時刻・終業時刻・休憩時間を記載します。

区分始業時刻終業時刻休憩時間
工場7時00分16時00分11時00分から12時00分まで
事務所8時00分17時00分12時00分から13時00分まで

しかし、シフト制を採用している会社で、個人ごとに労働時間が異なる場合は、画一的な記載ができません。どうしても、実際の労働時間と不一致が生じてしまいます。

そのため、通達によって、次のような方法が認められています。

パートタイム労働者等のうち本人の希望等により勤務態様、職種等の別ごとに始業及び終業の時刻を画一的に定めないこととする者については、就業規則には、基本となる始業及び終業の時刻を定めるとともに、具体的には個別の労働契約等で定める旨の委任規定を設けることで差し支えない。なお、個別の労働契約等で具体的に定める場合には、できる限り、雇入通知書等書面により明確にすることが望ましい。

シフト制で勤務をする者については、就業規則には、基本となる始業時刻及び終業時刻を定めて、具体的には個別の労働契約等で定める旨の委任規定を設けていれば、問題はありません。この取扱いについては、休憩時間及び休日についても同様とされています。

就業規則の規定例としては、次のようになります。

「始業時刻、終業時刻及び休憩時間は、次の時刻を基準にして、シフト表によって個人ごとに定める。」

始業時刻終業時刻休憩時間
9時00分18時00分12時00分から13時00分まで

「1パターンだけでは従業員が勘違いするかもしれない」と不安がある場合は、表には最も早い始業時刻と最も遅い終業時刻を記載して、「所定労働時間は1日8時間以内とし、始業時刻及び終業時刻は、次の時刻の範囲内で、シフト表によって個人ごとに定める。」と規定する方法もあります。

その上で、個別に交付する雇用契約書や労働条件通知書には、始業時刻、終業時刻、休日は、シフト表によって決定することを記載して、労使間で思い違いが生じないように、

等を明示することが望ましいです。


執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。

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