減給の制裁
減給の制裁
労働基準法 第91条
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。
【減給の制裁】の解説です
就業規則で減給処分を定めたとしても、減給できるのは、違反行為1回につき半日分の賃金、違反行為が複数回あったとしても賃金総額の10%を上限とします。
減給する場合に上限額が決められているんだ。
正確に言うと、違反行為1回につき半日分の平均賃金が上限になります。
違反行為をしても、半日分の賃金しか減給できないの?
従業員が実際に勤務をしたのに、その賃金を支払わないという処分ですので、高額になると従業員の生活に支障が生じます。
1時間の遅刻をしたときに、1時間分の賃金を減額するのは?
それは減給には該当しません。ノーワークノーペイの原則で、勤務しなかった時間に対する賃金を支払う義務はありません。
1時間の遅刻をしたときに、3時間分の賃金を減額するのは?
その場合の2時間分の賃金については、ここで言う減給に該当します。ただし、あらかじめ就業規則に、制裁や懲戒の事由とその方法を記載している必要があります。
制裁と懲戒は違うの?
同じです。どちらの場合も就業規則には、懲戒解雇、諭旨退職、出勤停止、減給、譴責(戒告)などの処分の種類と事由が定められていると思います。
会社に制裁の制度がある場合は、就業規則に制裁に関する事項を記載しないといけなかったね。
そうです。制裁や懲戒の処分をする場合は、その根拠となる規定が必要です。根拠となる規定がなければ、処分はできません。
当社の就業規則を見ると、出勤停止は7日間が上限になっているけど、これは関係ない?
実際に勤務していませんので、その間の賃金を支払う必要はありません。ここで規定している減給とは関係ありません。
不祥事を犯した会社の人が、賃金の20%を3ヶ月減額するような報道を見たことがあるけど、あれは本当は違法なの?
報道をよく見ると、従業員ではなく取締役だったり、国家公務員が対象になっているはずです。
取締役は労働者ではないから、労働基準法は適用されない。
そうです。
例えば、違反行為を繰り返して、半日分の賃金を合計すると、賃金総額の15%になった場合はどうなる?
1ヶ月につき賃金総額の10%が上限ですので、その月に10%、翌月に5%を減給することになります。