労働条件の低下
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労働条件の低下
労働基準法 第1条第2項
この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
【労働条件の低下】の解説です
この労働基準法は労働条件の最低基準を定めたものであって、労働基準法を理由にして労働条件を低下させてはいけません。また、会社と社員は互いにより良い労働条件とするよう努力しないといけません。
分かりにくいんだけど。
例えば、有給休暇は「6ヶ月勤務したら10日与えること」が労働基準法で決められています。それで、入社と同時に10日の有給休暇を与えている会社があったとします。
入社と同時に?
労働基準法よりも良い労働条件ということです。それで、入社と同時に与えていたのを止めて、6ヶ月勤務するまで有給休暇を与えないとしたら、労働条件は低下したことになりますね。
うん。社員は嫌がるだろうね。
そのときに、「労働基準法がそうなっているから」という理由で労働条件を引き下げてはいけませんよ、という規定です。
他に理由があればいいんだ。
はい。労働条件を引き下げる理由がどこにあるかということです。労働条件の引下げ自体を禁止しているのではなくて、「労働基準法を理由にして」労働条件を引き下げてはいけませんよということです。
ふ〜ん。経営が行き詰まって他に切り詰められる所がないとか?
そうです。ただし、そのような理由があったら労働条件を引き下げても良いのかって言うと、これも難しいんです。
どうして?
例えば1万円で見積もった商品をお客さんに納品して、「やっぱり9千円しか払えません」というのは通用しませんよね。
それは通用しないよ。
それと同じで、給料とか労働時間といった労働条件も雇用契約として成立していますので、基本的には個別の同意がないと変更はできません。労働契約法でもそのように規定されています。
契約として考えたらそうなるね。
それともう1つ、労働条件を向上するよう努力しましょうということが書かれています。
でも、今言ったとおり、一旦、労働条件を向上したら、引き下げるのは難しいんじゃないの?
はい。労働条件の向上は、将来を見越して支障がないと確信できてから行ってください。
当社は労働基準法を守るのに精一杯なので、それを上回る労働条件を従業員に提案できるように、頑張らないといけないね。
まずは労働基準法を守ることから始めましょう。