高度プロフェッショナル制度の導入

なるほど労働基準法 > 残業 > 高度プロフェッショナル制度の導入

高度プロフェッショナル制度の導入

労働基準法 施行規則 第34条の2

法第41条の2第1項の規定による届出は、様式第14号の2により、所轄労働基準監督署長にしなければならない。

労働基準法 施行規則 第34条の2第2項

法第41条の2第1項各号列記以外の部分に規定する厚生労働省令で定める方法は、次に掲げる事項を明らかにした書面に対象労働者(同項に規定する「対象労働者」をいう。以下同じ。)の署名を受け、当該書面の交付を受ける方法(当該対象労働者が希望した場合にあっては、当該書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録の提供を受ける方法)とする。

  1. 対象労働者が法第41条の2第1項の同意をした場合には、同項の規定により、法第4章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定が適用されないこととなる旨
  2. 法第41条の2第1項の同意の対象となる期間
  3. 前号の期間中に支払われると見込まれる賃金の額

労働基準法 施行規則 第34条の2第3項

法第41条の2第1項第1号の厚生労働省令で定める業務は、次に掲げる業務(当該業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示(業務量に比して著しく短い期限の設定その他の実質的に当該業務に従事する時間に関する指示と認められるものを含む。)を受けて行うものを除く。)とする。

  1. 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
  2. 資産運用(指図を含む。以下この号において同じ。)の業務又は有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断に基づく資産運用の業務、投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務又は投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引の業務
  3. 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務
  4. 顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査又は分析及びこれに基づく当該事項に関する考案又は助言の業務
  5. 新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務

労働基準法 施行規則 第34条の2第4項

法第41条の2第1項第2号イの厚生労働省令で定める方法は、使用者が、次に掲げる事項を明らかにした書面に対象労働者の署名を受け、当該書面の交付を受ける方法(当該対象労働者が希望した場合にあっては、当該書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録の提供を受ける方法)とする。

  1. 業務の内容
  2. 責任の程度
  3. 職務において求められる成果その他の職務を遂行するに当たって求められる水準

労働基準法 施行規則 第34条の2第5項

法第41条の2第1項第2号ロの基準年間平均給与額は、厚生労働省において作成する毎月勤労統計(以下「毎月勤労統計」という。)における毎月きまって支給する給与の額の1月分から12月分までの各月分の合計額とする。

労働基準法 施行規則 第34条の2第6項

法第41条の2第1項第2号ロの厚生労働省令で定める額は、1075万円とする。

労働基準法 施行規則 第34条の2第7項

法第41条の2第1項第3号の厚生労働省令で定める労働時間以外の時間は、休憩時間その他対象労働者が労働していない時間とする。

労働基準法 施行規則 第34条の2第8項

法第41条の2第1項第3号の厚生労働省令で定める方法は、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法とする。ただし、事業場外において労働した場合であって、やむを得ない理由があるときは、自己申告によることができる。

労働基準法 施行規則 第34条の2第9項

法第41条の2第1項第5号イの厚生労働省令で定める時間は、11時間とする。

労働基準法 施行規則 第34条の2第10項

法第41条の2第1項第5号イの厚生労働省令で定める回数は、4回とする。

労働基準法 施行規則 第34条の2第11項

法第41条の2第1項第5号ロの厚生労働省令で定める時間は、1週間当たりの健康管理時間(同項第3号に規定する健康管理時間をいう。以下この条及び次条において同じ。)が40時間を超えた場合におけるその超えた時間について、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める時間とする。

  1. 1箇月 100時間
  2. 3箇月 240時間

労働基準法 施行規則 第34条の2第12項

法第41条の2第1項第5号ニの厚生労働省令で定める要件は、1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間が1箇月当たり80時間を超えたこと又は対象労働者からの申出があったこととする。

労働基準法 施行規則 第34条の2第13項

法第41条の2第1項第5号ニの厚生労働省令で定める項目は、次に掲げるものとする。

  1. 労働安全衛生規則第44条第1項第1号から第3号まで、第5号及び第8号から第11号までに掲げる項目(同項第3号に掲げる項目にあっては、視力及び聴力の検査を除く。)
  2. 労働安全衛生規則第52条の4各号に掲げる事項の確認

労働基準法 施行規則 第34条の2第14項

法第41条の2第1項第6号の厚生労働省令で定める措置は、次に掲げる措置とする。

  1. 法第41条の2第1項第5号イからニまでに掲げるいずれかの措置であって、同項の決議及び就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより使用者が講ずることとした措置以外のもの
  2. 健康管理時間が一定時間を超える対象労働者に対し、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいい、労働安全衛生法第66条の8の4第1項の規定による面接指導を除く。)を行うこと。
  3. 対象労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること。
  4. 対象労働者の心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること。
  5. 対象労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること。
  6. 産業医等による助言若しくは指導を受け、又は対象労働者に産業医等による保健指導を受けさせること。

労働基準法 施行規則 第34条の2第15項

法第41条の2第1項第10号の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げるものとする。

  1. 法第41条の2第1項の決議の有効期間の定め及び当該決議は再度同項の決議をしない限り更新されない旨
  2. 法第41条の2第1項に規定する委員会の開催頻度及び開催時期
  3. 常時50人未満の労働者を使用する事業場である場合には、労働者の健康管理等を行うのに必要な知識を有する医師を選任すること。
  4. 使用者は、イからチまでに掲げる事項に関する対象労働者ごとの記録及びリに掲げる事項に関する記録を第1号の有効期間中及び当該有効期間の満了後5年間保存すること。
    イ 法第41条の2第1項の規定による同意及びその撤回
    ロ 法第41条の2第1項第2号イの合意に基づき定められた職務の内容
    ハ 法第41条の2第1項第2号ロの支払われると見込まれる賃金の額
    ニ 健康管理時間の状況
    ホ 法第41条の2第1項第4号に規定する措置の実施状況
    ヘ 法第41条の2第1項第5号に規定する措置の実施状況
    ト 法第41条の2第1項第6号に規定する措置の実施状況
    チ 法第41条の2第1項第8号に規定する措置の実施状況
    リ 前号の規定による医師の選任

【高度プロフェッショナル制度の導入】の解説です

高度プロフェッショナル制度を導入する場合は、制度の対象とする従業員から、次の事項を明らかにした書面に署名をもらう必要があります。

  1. 同意(署名)した場合は、割増賃金が支払われないこと
  2. 高度プロフェッショナル制度が適用される期間
  3. 適用期間中に支払われる賃金の見込額
  4. 業務の内容
  5. 責任の程度
  6. 求められる成果、職務の遂行に必要な能力

高度プロフェッショナル制度を導入する場合は、本人の同意が必要と言っていたけど、この内容について同意を得るということ?

そうです。

高度プロフェッショナル制度を導入する場合は、労働基準法とは別に労働基準法施行規則でも、色々定められているみたい。

はい。1つずつ取り上げて解説します。高度プロフェッショナル制度に関して補足的な内容を定めている労働基準法施行規則第34条の2には、1項から15項まで記載されています。

高度プロフェッショナル制度を導入するつもりはないけど...

高度プロフェッショナル制度を導入できる業務は、次の業務に限定されています。

  1. 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発
  2. 資産運用の業務、有価証券の売買
  3. 有価証券の投資に関する助言
  4. 顧客の事業運営に関する調査、分析、考案、助言
  5. 新たな技術、商品、役務の研究開発

これに該当しない会社は高度プロフェッショナル制度を導入できない?

はい。該当しない会社は導入できません。該当したとしても、本人に裁量がなく、会社から具体的な指示を出して業務を処理している場合は認められません。

当社で該当する業務はない。

次に、高度プロフェッショナル制度を適用できる従業員の賃金は、1年あたりの見込額が1075万円以上であることが条件になっています。

労働基準法施行規則で決められているの?

労働基準法の本則の中で決めると法律を改正しないといけませんので、労働基準法施行規則で決められています。次に、客観的な方法で健康管理時間を把握しないといけません。

健康管理時間というのは、労働時間とは違う?

会社にいた時間、社外で勤務した時間を合計した時間を言います。

休憩時間も含むということ?

基本的には休憩時間も含むのですが、労使委員会で決議をしたときは休憩時間を除くことができます。

客観的な方法というと?

次のような方法で記録することが示されています。

  • タイムカードに打刻して入退室の記録する
  • パソコンのログイン・ログアウトの時刻を記録する
  • ICカードにより入退室の時刻を記録する

健康管理時間を把握する方法として、自己申告は認められない?

社外で勤務をしたりして、やむを得ない場合は、自己申告による方法も認められています。原則的には、タイムカード、パソコン、ICカードで記録する必要があります。

なるほど。

次に、選択的措置として、勤務間インターバルを選択する場合の休息時間は、11時間以上とする必要があります。

終業時刻から次の日の始業時刻まで、11時間以上あけないといけないということ?

そのとおりです。勤務間インターバルを選択する場合は、更に、深夜業(22時から翌日5時まで)の回数を1ヶ月につき4回以内とする必要があります。

勤務間インターバルと深夜業の回数制限はセットになっている?

そうです。次に、選択的措置として、健康管理時間の上限措置を選択する場合は、健康管理時間を把握して、1週40時間を超える時間を次の範囲内にする必要があります。

  • 1ヶ月につき100時間
  • 3ヶ月につき240時間

1週40時間ということは、健康管理時間から休憩時間を除いたら、実労働時間に近付くのかな。

次に、選択的措置として、臨時の健康診断を選択する場合は、健康管理時間を把握して、1週40時間を超えた時間が、1ヶ月につき80時間を超えた従業員を対象として行います。

その場合は、本人の意思に関係なく受診させないといけない?

はい。臨時の健康診断を選択的措置とした場合はそうなります。また、本人が申し出た場合も受診させないといけません。

1ヶ月につき80時間以内の従業員が申し出た場合も?

はい。受診させないといけません。次に、健康福祉確保措置として、次のいずれかの措置を定めて実施する必要があります。

  1. 選択的措置のいずれか(選択的措置として選択した以外の措置)
  2. 医師による面接指導
  3. 代償休日又は特別休暇の付与
  4. 心とからだの健康問題についての相談窓口の設置
  5. 適切な部署への配置転換
  6. 産業医等による助言・指導、又は保健指導

色んな措置を実行しないといけないから混乱しそうだ。高度プロフェッショナル制度を導入するつもりはないけど。

最後に、決議事項が労働基準法の本則で定められていましたが、施行規則により、次の事項も追加で定められています。

  1. 決議の有効期間及びその決議は自動更新されないこと
  2. 労使委員会の開催頻度、開催時期
  3. 50人未満の会社は健康管理を行う医師を選任すること
  4. 会社は、次の事項に関する対象者ごとの記録を、有効期間中及び有効期間満了後5年間は保存すること
    イ 従業員の同意、撤回
    ロ 対象者が合意した職務の内容
    ハ 賃金の見込み額
    ニ 健康管理時間の状況
    ホ 休日の取得状況
    ヘ 選択的措置の実施状況
    ト 健康福祉確保措置の実施状況
    チ 従業員からの苦情処理の実施状況
    リ 医師の選任

無理だ。