是正勧告と就業規則

是正勧告と就業規則

  • 就業規則が未整備ということで、労働基準監督署の是正勧告を受けました。どうすればいいでしょうか?
  • 早急に就業規則を整備して、労働基準監督署に届け出て下さい。場合によっては是正勧告の期日を延ばしてもらえることがあります。

是正勧告ワースト5

労働基準監督署による定期監督での労働基準法違反のワースト5は、次のようになっています。就業規則に関する違反が第3位です。

  1. 【労働時間】労働基準法 第32条違反
  2. 【割増賃金】労働基準法 第37条違反
  3. 【就業規則】労働基準法 第89条違反
  4. 【労働条件の明示】労働基準法 第15条違反
  5. 【賃金台帳】労働基準法 第108条違反

上位の5項目はほぼ毎年同じで、これに健康診断の違反が加わります。

労働基準監督署の調査

労働基準監督署の調査には、「定期監督」と「申告監督」と呼ばれるものがあります。

これらの調査があると、社員数が10人以上の会社の場合は、就業規則の有無が必ずチェックされます。

そして、就業規則の未整備といった労働基準法等の違反が認められたときは、是正勧告が出されます。是正勧告を受ける前に、就業規則を整備しておきましょう。当たり前のことですが、これが一番の対策です。

是正勧告を受けてしまったら

早急に就業規則を整備して届け出る

就業規則がないということで是正勧告を受けた場合は、残念ながら言い逃れることはできません。是正期日までに就業規則を作成して、労働基準監督署に届け出ることです。

しかし、「とりあえず就業規則を提出すれば良い」と考えて、他社の就業規則をコピーしたりして、安易に作成することは避けるべきです。その場しのぎで作ったとしても、会社はその就業規則に拘束されてしまいます。

1つできるアドバイスとしては、場合によっては是正期日を延ばしてもらえるということです。是正期日に間に合わないときに、その理由といつまでなら是正できるのかを労働基準監督署に説明すれば、是正期日を延ばしてもらえることがあります。

ただし、社会保険労務士に依頼して就業規則を作成していたり、就業規則を作成するために何か具体的な行動をとっていないと認められにくいと思います。

嫌がらせは労働基準法違反に

上で、従業員の申告による申告監督があると説明しましたが、労働基準法により、労働基準法違反があるときは、従業員は労働基準監督署にその事実を申告することができます。

また、従業員が労働基準監督署に申告したことを理由にして、会社は解雇等の嫌がらせをしてはいけないことが労働基準法で定められています。つまり、従業員は労働基準法で保護されているということです。

申告監督によって是正勧告を受けると、「仕事はいい加減なくせに、そんなことだけはキッチリするんだな」と苛立つ気持ちも分かります。しかし、それは別問題ですので、是正勧告の対応が先です。

社会保険労務士の活用を

労働基準監督署に調査に入られると、残業手当の未払い、残業手当の計算方法の間違い、36協定の未届け、健康診断の未実施、労働条件を明示していない等、いろんなボロが出てくるものです。

最近は法令遵守やコンプライアンスが注目されていますので、「我が社も法律違反がないようにしよう」という気持ちがあっても、何から始めていいのか分からない→日常業務が忙しい→法令遵守は後回し→そして、是正勧告...というパターンが多いようです。

就業規則の作成を検討される場合はご相談ください。是正期日を延長してもらうための書類を差し上げることができます。

就業規則の作成について