新しい36協定届の書き方

時間外労働の上限規制

労働基準法が改正されて、時間外労働の上限が規制されることになりました。大企業には2019年4月1日から、中小企業には2020年4月1日から適用されています。

この改正に伴って、36(サブロク)協定届の様式が改められましたので、変更内容と注意点をご案内いたします。

労働保険番号と法人番号

法改正とは関係ありませんが、新しい36協定届の様式には、「労働保険番号(14桁)」と「法人番号(13桁)」を記入する欄が追加されています。

協定の有効期間

「協定の有効期間」を記入する欄が追加されています。起算日を定めて、「○年○月○日から1年間」というような記載になります。

延長することができる時間数

従来の36協定届では「1日」「1日を超えて3ヶ月以内の期間」「1年」の3つの期間に対して「延長することができる時間数」を記入していましたが、労働基準法上に「1ヶ月」と「1年」の限度時間が定められましたので、新しい36協定届では「1日」「1ヶ月」「1年」の3つの期間で固定されています。

なお、限度時間は1ヶ月45時間、1年360時間(1年単位の変形労働時間制を採用している場合は、1ヶ月42時間、1年320時間)となっていますので、この範囲内で記入する必要があります。

また、限度時間内に収まっているかどうかを確認するために、「1年」の「起算日」を記入する欄が設けられています。この起算日は、「協定の有効期間」の起算日と一致させてください。

この起算日は1ヶ月(ごと)の起算日にもなりますので、起算日は賃金の計算期間の初日と一致させてください。一致していないと確認作業が複雑になります。

所定労働時間を超える時間数

「法定労働時間を超える時間数」の横に「所定労働時間を超える時間数(任意)」の欄が追加されています。この欄は【任意】ですので、記入しなくても構いません。他に【任意】となっている「所定労働時間」、「所定休日」の欄も記入する義務はありません。

チェックボックス

時間外労働と休日労働の合計時間を、各月100時間未満、2〜6ヶ月を平均して80時間以内にすることが義務付けられます。これを超えると法律違反になりますので、遵守することを労使間で協定することになっています。

労使間で協定したことを確認するために、「上記で定める時間数にかかわらず、時間外労働及び休日労働を合算した時間数は、1箇月について100時間未満でなければならず、かつ2箇月から6箇月までを平均して80時間を超過しないこと」について、チェックボックスが設けられています。チェックがない場合は無効になります。

特別条項付きの36協定

従来の36協定届では、限度時間を超えて時間外労働をさせる場合は、余白に特別条項を記載していましたが、様式が改められました。

通常の限度時間内の36協定届を作成した上で、特別条項に関する項目を記入した36協定届を別に作成する形式になりました。特別条項付きの36協定届を提出する場合は2枚組になります。

臨時的な特別の事情

限度時間を超えて労働させられるのは、臨時的な特別の事情がある場合に限られます。「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」には、次のように、できる限り具体的な事例を記入する必要があります。

「業務の都合上必要な場合」や「業務上やむを得ない場合」など、臨時的な特別の事情とは言えないものは認められません。

限度時間を超えることができる回数

「限度時間を超えて労働させることができる回数」は、1年につき6回以内に限ります。

時間外労働と休日労働の合計時間数

「法定労働時間を超える時間数と休日労働の時間数を合算した時間数」は、1ヶ月につき100時間未満(1ヶ月平均80時間以内)に限ります。

限度時間を超えた労働に係る割増賃金率

「限度時間を超えた労働に係る割増賃金率」は、25%を超えるよう努めることとされています。会社として努力した結果、25%が支払える限界で、過半数代表者と話し合って合意したのであれば、「25%」と記入しても問題はありません。

法定労働時間を超える時間数

法定労働時間を超える時間数」は、1年につき720時間以内に限ります。

限度時間を超える場合の手続

「限度時間を超えて労働させる場合における手続」は、「過半数代表者への事前通告」や「過半数代表者との事前協議」等が考えられます。

健康及び福祉を確保するための措置

「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置」を講じることとされています。措置の内容は、次の10種類の中から選ぶことになっています(複数選択可)。

36協定届には、番号とその具体的な内容を記入します。

  1. 医師による面接指導
  2. 深夜業の回数制限
  3. 勤務間インターバル
  4. 代償休日、特別な休暇の付与
  5. 健康診断
  6. 連続休暇の取得
  7. 心と体の相談窓口の設置
  8. 配置転換
  9. 産業医等による助言、指導、保健指導
  10. その他

労働基準監督署による指導

労働基準監督署に届け出た36協定届が適正でない場合は、受理されずに返戻されます。有効期間が始まる前に届出を完了する必要がありますので、余裕を持って提出してください。

また、36協定に関する指針が策定され、時間外労働や休日労働は必要最小限に止めるべきとされています。

例えば、法定休日労働を1ヶ月に4日(5日)としたり、上限時間(特別条項の時間外労働等を1ヶ月80時間、1年720時間)で記入していたりする場合は、法律違反ではありませんので受理されますが、会社に対して努力義務を促すために労働基準監督署から指導される(リーフレットが交付される)可能性があります。

更に、労使間の検討内容や過半数代表者の選出方法について信憑性が疑われる場合は、経営者や過半数代表者に対して、電話で事情を聴取されることもあります。

36協定のダウンロード

下のリンクから、36協定(Wordファイル)をダウンロードできます。

(2022/1作成)