IPO(株式公開)と就業規則
IPO(株式公開)と就業規則
- IPO(株式公開)を考えているのですが、就業規則は整備しないといけませんか?
- 就業規則が最新の法改正に対応できていなかったり、不備があったりすると、IPO(株式公開)は認められませんので、就業規則は適正に整備する必要があります。
IPO(株式公開)と就業規則
IPO(株式公開)を実現するために、法令を遵守していることが求められます。それには、労働基準法や労働安全衛生法など、労働関係の法令も含みます。
少人数で家族的な経営をしている会社では、法令違反があっても、それ以上の手厚い処遇をしたりして、問題が表面化しないことがあります。
しかし、法令違反が発覚すると、証券会社や監査法人から指摘されます。法令違反を是正するまでは、IPO(株式公開)は実現できませんので、延期せざるを得ないケースもあります。
IPO(株式公開)を目指していて、問題になりやすいのが、割増賃金です。未払いの割増賃金がある場合は、過去にさかのぼって支払うよう求められます。
会社が意図的に割増賃金を支払っていないのは問題外ですが、知らない間に違法な取扱いをしているケースがあります。例えば、
- 割増賃金の基礎となる賃金に含めるべき手当を含めていない
- 30分未満の残業時間を切り捨てて計算している
- 労働時間(残業時間)を適正に把握していない
- 年俸制を導入して、割増賃金を支払っていない
- 管理監督者の範囲を広げ過ぎている
- 管理監督者に深夜勤務手当を支払っていない
- 定額で割増賃金を支払っているけれども適正でない
割増賃金以外にも、次のような事項について、指摘されやすいです。
- 採用時に雇用契約書又は労働条件通知書を作成、交付していない
- 採用時に健康診断を実施していない
- 毎年1回の定期健康診断を実施していない
- 36協定を締結して、労働基準監督署に届け出ていない
- 従業員の過半数代表者の選出方法が適正でない
- 社会保険、雇用保険に適正に加入していない
- 裁量労働制を採用しているけれども適正でない
自分でできる労務監査を公開していますので、参考にしてください。
IPO(株式公開)の審査においては、法令違反がないか、就業規則や賃金規程等がチェックされます。就業規則に違法な取扱いを定めていたり、法改正に対応できていなかったりすると、是正するよう求められます。
就業規則は、労働関係の取扱いをほぼ網羅していますので、法令違反の指摘を受ける前に、正しく整備しておくべきです。その適正な就業規則に基づいて対応すれば、会社は違法な取扱いを防止できます。
しかし、モデル就業規則を参考にして簡単に作成した場合は、会社の実態に合っていないことがあります。そうなると、モデル就業規則の方に、実態を合わせていくことになります。
既製品のスーツを着るために、ダイエットを強要されるようなものです。実態と大きく乖離して着られない、使えないこともあります。実態に合う形で、オーダーメイドで就業規則を作成すれば、自然体で苦しむことはありありません。
キノシタ社会保険労務士事務所では、約100個(最大で約200個)の質問に回答してもらって、会社の実態に合った就業規則を作成いたします。
執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。