全社の社員数と就業規則の作成義務

全社の社員数と就業規則の作成義務

  • 当社は、会社全体の社員数で言うと10人以上になるのですが、勤務地が分散していて、それぞれの勤務地の社員数は10人未満です。この場合は、就業規則は作成しなくても良いのでしょうか?
  • それぞれの勤務地が独立した事業場と言えるものであれば、就業規則は作成しなくても構いません。そうでない場合は、作成しないといけません。

全社の社員数と就業規則の作成義務

労働基準法は、「事業場」を単位として適用することになっています。そして、労働基準法では、社員数が10人以上の「事業場」に対して、就業規則の作成を義務付けています。

この「事業場」をどのように解釈するのかによって、社員数のカウントの仕方が違ってきます。

原則的には、場所的にどうかで判断されます。つまり、同一の場所にあるものは同一の事業場、別々の場所にあるものは別々の事業場と判断されます。

要するに、事務所、工場、支社、支店、営業所、出張所、店舗などがあって、同一の場所にあるものは、それらをまとめて1つの事業場とします。一方、A市、B市、C市など、離れた場所にあるものは、それぞれの場所ごとに1つの事業場となります。これが原則です。

しかし、例外的に、場所的に離れていたとしても、規模が著しく小さくて、1つの事業場という程度の独立性がない場合は、直近上位の事業場に一括してまとめられます。

この判断については、その事業場の規模、業務内容、所長等の配置の有無、事務処理能力等を勘案して行われます。「○人以下の場合は直近上位の事業場にまとめる」という具体的な数字(規模)を通達等で示してもらえると分かりやすいのですが、具体的な数字(規模)は示されていません。

また、派遣で勤務する社員については、派遣先企業の社員ではなく、在籍している派遣元企業の社員としてカウントします。請負についても、通常は請負先企業の場所を一時的に借りているものと思いますので、在籍している請負元企業の社員としてカウントします。

36協定の届出

ところで、36協定も事業場単位で、労働基準監督署に届け出ることになっています。

就業規則の作成義務がある社員数を数えるときに、別々の事業場とするのであれば、36協定についても、別々の事業場として、それぞれの事業場で、それぞれの事業場を管轄する労働基準監督署に届け出ないといけません。

36協定を届け出るときは、離れた場所の社員も同一の事業場として、本社で届け出る分に含めているにもかかわらず、就業規則の作成義務がある社員数を数えるときに限って、別々の事業場としていると、矛盾した取り扱いになってしまいます。

就業規則の作成について