就業規則と実際の取り扱いが違う

就業規則と実際の取り扱いが違う

  • 就業規則に書いてある内容と実際の取り扱いが違うのですが、何か問題がありますか?
  • 問題ないとは言い切れません。就業規則の内容と実際の取り扱いは、一致させるようにして下さい。

就業規則の内容と実際の取り扱いが違っていると

労務管理上の問題

就業規則の内容と実際の取り扱いが違っていると、労務管理上の問題が生じます。最悪のケースは、次のようなパターンです。

  1. 実際の取り扱いが就業規則の内容と違っていると、実際の取り扱いの方が当たり前になる。
  2. その状態を放置していると、「就業規則は守らなくても良い」という意識が生まれる。
  3. これまで守られていた就業規則の他の部分についても違反が見逃される。
  4. 就業規則は有名無実となって、社員をコントロールできなくなる。

就業規則が無意味に

就業規則に基づいて懲戒処分を行うときは、公平でないといけません。例えば、就業規則の懲戒事由として、「遅刻が繰り返されたとき」が定められていて、これを理由として、Aさんを懲戒処分したい場合で考えてみましょう。

そして、以前にもAさんと同じぐらい遅刻を繰り返していたBさんがいたとします。そのときに、Bさんは成績が優秀だったので懲戒処分は行わないで黙認してきた(注意もしていなかった)のであれば、Aさんに対する懲戒処分は認められません。

遅刻が繰り返されたときの懲戒処分の規定が、有名無実になっていると判断されるからです。

懲戒に関することだけではなく、就業規則には様々な労働条件(始業時刻や終業時刻、休暇、賃金の取扱いなど)も定めます。これらも放置していると、実際の取り扱いの方が就業規則より優先されることになります。

社員の不信感が増す

就業規則の内容を無視して、社員によって認めたり認めなかったりという対応をしていると、社員は会社に対して不信感を抱くでしょう。会社を信頼できない社員が、会社のために積極的に仕事をすることはありません。

就業規則に従って公平に厳格に対応していれば、就業規則は大事なものという共通の認識が生まれ、就業規則に基づいた処分の納得が得やすくなります。

就業規則と実際の取り扱いが異なっている場合は、実際の取り扱いに合わせて就業規則を修正するか、就業規則を厳格に適用するか、どちらかです。曖昧なままで放っておくのが最もいけません。

就業規則を読み返して下さい

多くの社員は、何かあったときにしか就業規則を見る機会はないでしょう。しかし、経営者やマネジャーは、就業規則どおりに対応することが求められますので、その内容を熟知しておかないといけません。

就業規則の内容は多岐に渡りますので熟知とまではいかなくても、少なくとも「こんなことが書かれていた」と思い付くことができるようにして、何かあったときは就業規則を確認するよう心掛けて下さい。そして、就業規則に基づいて対応することが大事です。

就業規則を大切にしていれば、就業規則は後で役立ってくれます。今すぐ就業規則を読み返してみませんか?

就業規則の運用について