復職後の欠勤|就業規則の規定例

復職後の欠勤

  • 病気で休職していた従業員が復職したのですが、しばらくすると症状が再発して欠勤することになりました。休職期間はどのように考えれば良いでしょうか?
  • 休職については、労働基準法等で義務付けられている制度ではありませんので、会社の就業規則の規定によります。

休職に関する労働基準法の規定

モデル就業規則や多くの会社の就業規則には、休職に関する記載があります。そのため、休職制度を設けることは会社の義務と考えて、就業規則を作成している経営者・会社が多いです。

しかし、労働基準法を見ても、休職制度を義務付けるような規定はありません。

そもそも労働基準法には“休職”の文字がありません。労働基準法の施行規則(第5条)に少しだけ記載されています。

労働基準法(第15条)によって、採用時に労働条件を明示することが義務付けられていて、労働基準法施行規則(厚生労働省令)によって、具体的に明示しなければならない事項が列挙されています。

その1つとして、「休職に関する事項」が挙げられていますが、但し書きで、「使用者がこれらに関する定めをしない場合においては、この限りでない。」と規定されています。

要するに、休職制度がない会社は、休職に関する事項を明示する必要がないということです。前提として休職制度がない会社が想定されていますので、休職制度がなくても違法ではないことが分かります。

復職後の欠勤(就業規則の作成方法)

以上のとおり、労働基準法施行規則で「休職に関する事項」と記載されているだけで、労働基準法では、休職制度の構成や内容は定められていません。会社の就業規則に休職に関する記載があれば、就業規則に基づいて対応することになります。

モデル就業規則や一般的な就業規則を見ると、休職について、次のような内容が記載されています。

  1. 休職事由
  2. 休職期間
  3. 復職

典型的なケースは、就業規則に当てはめて対応できますが、例外的な事態が生じて、就業規則に当てはまる規定がない場合は、対応に困ります。就業規則に記載がないと、会社と従業員がそれぞれ自分にとって都合の良いように考えます。

会社は「休職期間は通算される」、従業員は「復職したから、休職期間はリセットされる」と、労使間で意見が対立する恐れがあります。休職期間が満了しても復職できない場合は、自動的に退職することになりますので、大きなトラブルに発展することが考えられます。

例外的な事態が生じても対応に困らないように(労使間で意見が対立しないように)、例外的な事態も想定して就業規則を作成することが重要です。

質問にあったように、復職後に再度欠勤をするケースは、精神疾患の場合に見受けられます。

就業規則に、「復職して6ヶ月以内に、同一又は類似の傷病によって欠勤するときは、欠勤開始日から休職とみなして、休職期間は復職前の期間と通算する」といった規定を設けていれば、取扱いが明確になりますので、トラブルに発展することは考えにくいです。

このような記載がない就業規則は、他の部分でも想定していないトラブルが起こるかもしれません。就業規則を作成又は見直した方が良いと思います。


執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。

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