休職の事由|就業規則の規定例
休職の事由
- 就業規則で定める休職事由としては、どのようなものがありますか?
- 個人的には、休職事由は次の4つで十分と思います。
休職の事由
就業規則で定める休職の事由は、次の4つで良いと思います。
- 業務外の傷病により、欠勤が連続して○ヶ月に達したとき
- 精神疾患等により労務の提供が不完全なとき
- 会社の命令により、出向するとき
- 前各号の他、会社が必要と認めたとき
近年は精神疾患が増えています。精神疾患は本人が出勤しようと思えば出勤できるケースが多いため、一定期間の欠勤が条件になっている第1号では対応できないことがあります。
また、無理に出勤して病状が悪化することは、企業としても避けないといけませんので、第1号とは別に、第2号として精神疾患の項目を独立して規定しています。
その他の休職事由
上に挙げた4つ以外に、休職事由として、次のケースを定めている就業規則を見掛けます。
- 自己の都合により、欠勤が連続して○ヶ月に達したとき
- 刑事事件を犯して、起訴されたとき
- 公職に就任して、会社業務に支障をきたすとき
自己都合休職
第5号の自己都合休職を就業規則で規定していると、本人に何か事情があって、解雇が認められるような状況であっても、「休職が権利としてあるのだ」と主張されて、解雇か休職かでトラブルになりかねません。
したがって、自己都合休職は、就業規則には規定しない方が良いです。
就業規則に規定しないで、自己都合で何かあったときは、会社の判断で対応できる第4号「前各号の他、会社が必要と認めたとき」を適用するか、解雇を検討することになります。
起訴休職
第6号の起訴休職について、「二重処分禁止の原則」と呼ばれるものがあって、1つの違反行為に対して、後から処分を追加することはできません。
起訴されている間の賃金を無給とすると、その行為は懲戒処分と判断されて、後から懲戒解雇等の処分を行うことが不可能になる恐れがあります。
したがって、拘留されていて出社できない場合は無給でも問題はないですが、在宅起訴で出社できる状態で出社が好ましくないのであれば、平均賃金の6割を支給する必要があります。
一定の賃金(平均賃金の6割)を支給しておけば、懲戒処分ではなく業務命令と判断され、後で懲戒解雇等の処分が可能になります(二重処分ではなくなります)。
また、起訴休職を就業規則に規定していると、上の自己都合休職と同じように、起訴されて犯罪事実が明白なときでも、「解雇ではなく、まずは休職とすべきだ」と主張される恐れがありますので、起訴休職は就業規則に規定しない方が良いです。
この場合も、会社の判断対応できる第4号を適用するか、解雇を検討することになります。
公職休職
第7号の公職休職については、単に公職に就任しただけで休職とするのは不適当で、「会社の業務に支障をきたす場合」でなければ休職とはできないとされています。休みがちで正常な業務を行えない状態になることが考えられます。
正しく運用して、解雇はしないで休職させても構わないのであれば、就業規則に公職休職を規定していても問題になることは考えにくいので、就業規則に規定しても不都合はないと思います。