勤続年数の設定|就業規則の規定例
勤続年数の設定
- 当社の就業規則では、「休職期間は勤続年数に通算しない」と書かれているのですが、休職期間は、勤続年数に通算しなくても良いのでしょうか?
- 年次有給休暇を付与するときの基準になる勤続年数には通算しないといけませんが、それ以外の法定外の制度については、会社が自由に決められます。就業規則で通算しないことになっている場合は、法定外の制度については通算しなくても構いません。
年次有給休暇(法定の制度)
労働基準法により、勤続年数に応じて、次の日数の年次有給休暇を付与することが義務付けられています。
勤続年数 | 付与日数 |
---|---|
0.5年 | 10日 |
1.5年 | 11日 |
2.5年 | 12日 |
3.5年 | 14日 |
4.5年 | 16日 |
5.5年 | 18日 |
6.5年 | 20日 |
また、労働基準法では次のように、「勤続年数」ではなく、「継続勤務年数」と呼ばれています。
「第39条第1項 使用者は、その雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。」
「第2項 使用者は、1年6ヶ月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して6ヶ月を超えて継続勤務する日から起算した継続勤務年数1年ごとに、・・・」
そして、通達により、この「継続勤務」とは「在籍期間」であることが示されています。休職期間も従業員は会社に在籍していますので、休職期間も「継続勤務年数」に通算しないといけないということになります。
また、「休職期間は勤続年数に通算しない」と就業規則で規定していても、(従業員にとって有利に定められている)労働基準法の方が優先されますので、休職期間は、年次有給休暇を付与するときの基準になる勤続年数に通算しないといけません。
法定外の制度
労働基準法で、継続勤務年数(勤続年数)が関係するのは年次有給休暇だけです。これ以外のケースについては特に制限はありませんので、会社が自由に決められます。
通常は就業規則で定めていますが、就業規則の中で勤続年数が関係するケースは主に次のとおりです。
- 退職金の計算(勤続年数が長いほど退職金の支給額が大きくなります)
- 休職期間(勤続年数に応じて休職期間の長さを変える場合があります)
- 慶弔見舞金(勤続年数に応じて慶弔見舞金の支給額を変える場合があります)
- 永年勤続表彰(勤続10年、20年、30年などに達したときに表彰する制度です)
これらは法律で定められている制度ではなく、法律を上回るものとして、会社が独自に定めている制度です。元々設ける義務がない制度ですので、休職期間を勤続年数に通算するかどうかは、それぞれの会社に委ねられています。
通常は就業規則で取り扱いを定めていて、「休職期間は勤続年数に通算しない」と規定しているものが一般的です。これらの制度を適用するときに、休職期間を除いて勤続年数を計算することができます。
休職期間以外の期間
ここまでは休職期間について解説してきましたが、この他にも、勤続年数に通算したり、通算しなかったりする期間があります。例えば、次の期間です。
- 定年退職後に再雇用した後の期間
- 正社員以外のパートタイマー等として勤務していた期間
- 出向していた場合
- 育児休業の期間
- 介護休業の期間
- 試用期間
- 産前産後休業の期間
これらの期間について、会社は「勤続年数に通算しない」、従業員は「勤続年数に通算する」、とお互いに思い違いが生じるとトラブルに発展してしまいます。それぞれの期間について、勤続年数に通算するかしないか、就業規則で取り扱いを明確に定めておくべきです。
ただし、年次有給休暇を付与するために勤続年数を計算するときは、在籍期間が勤続年数になりますので、この場合は就業規則の規定に関係なく、これらの期間も全て通算しないといけません。