契約社員に休職を適用しない方法|就業規則の規定例
契約社員に休職を適用しない方法
- 初めて契約社員を採用する予定ですが、就業規則に休職の規定があります。契約社員に休職を適用しない場合は、本人に交付する雇用契約書に、「休職は適用しない」と記載すればいいでしょうか?
- その場合は、就業規則が優先されますので、契約社員にも休職を適用するよう求められます。契約社員に休職を適用しない場合は、就業規則に、「契約社員には休職を適用しない」といった規定を追加する必要があります。
就業規則違反の労働契約
初めて契約社員を採用するときに、有期雇用か無期雇用の違いがあるだけで、それ以外の労働時間や賃金等の労働条件が正社員とほぼ同じ場合は、契約社員にも正社員用の就業規則を適用するケースが多いです。
その場合に、正社員用の就業規則に休職の規定があって、そのままになっていることがあります。
労働契約法(第12条)によって、「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。」と規定されています。
要するに、雇用契約書の内容が、就業規則の内容より、従業員にとって不利に定められている場合は、その部分は無効になって、就業規則の規定が適用されます。
休職とは、解雇を猶予する制度ですので、従業員にとっては有利な制度です。
したがって、就業規則に休職の規定がある場合は、雇用契約書に「休職は適用しない」と記載したとしても、その部分は無効になって、就業規則の休職の規定が適用されます。
契約社員に休職を適用しない方法
休職は、労働基準法等の法律で義務付けられている制度ではありませんので、休職制度を設けるかどうか、及び、設ける場合の制度の内容は、会社が自由に決められます。したがって、正社員にだけ休職制度を適用して、契約社員には適用しないという取扱いは可能です。
なお、休職は制度の性質上、長期雇用を前提とする無期雇用の従業員に適用して、有期雇用の従業員には適用しない会社が多いです。また、「休職期間=有期雇用の残存期間」として、有期雇用の従業員にも休職を適用している会社もあります。
そして、契約社員に休職制度を適用しない場合は、次の2通りの方法が考えられます。
- 契約社員に適用する正社員用の就業規則に、「ただし、契約社員には休職を適用しない」といった規定を追加する
- 契約社員用の就業規則を新しく作成して、休職に関する規定を設けない
このようにすれば、契約社員には休職を適用しないという取扱いが、就業規則と雇用契約書で一致しますので、契約社員から休職を適用するよう求められることはありません。
なお、労働基準法施行規則によって、採用時に明示しなければならない労働条件として、「休職に関する事項」が挙げられていますが、休職を適用しない場合は、明示は義務付けられません。
休職について、説明しましたが、退職金、慶弔休暇、慶弔見舞金など、正社員と契約社員で取扱いが異なる部分があれば、考え方は同じです。就業規則・諸規程に目を通して、取扱いが異なる部分がないか確認するようにしてください。
執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。