時間外労働の代替休暇
代替休暇制度についての解説
労働基準法 第37条第3項(時間外労働の代替休暇)の条文
使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第1項ただし書の規定により割増賃金を支払うべき労働者に対して、当該割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(第39条の規定による有給休暇を除く。)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、当該労働者が当該休暇を取得したときは、当該労働者の同項ただし書に規定する時間を超えた時間の労働のうち当該取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、同項ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない。
労働基準法 施行規則 第19条の2
使用者は、法第37条第3項の協定(労使委員会の決議、労働時間等設定改善委員会の決議及び労働時間等設定改善法第7条の2に規定する労働時間等設定改善企業委員会の決議を含む。)をする場合には、次に掲げる事項について、協定しなければならない。
- 法第37条第3項の休暇(以下「代替休暇」という。)として与えることができる時間の時間数の算定方法
- 代替休暇の単位(1日又は半日(代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇と合わせて与えることができる旨を定めた場合においては、当該休暇と合わせた1日又は半日を含む。)とする。)
- 代替休暇を与えることができる期間(法第33条又は法第36条第1項の規定によつて延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた当該1箇月の末日の翌日から2箇月以内とする。)
労働基準法 施行規則 第19条の2 第2項
前項第1号の算定方法は、法第33条又は法第36条第1項の規定によつて1箇月について60時間を超えて延長して労働させた時間の時間数に、労働者が代替休暇を取得しなかつた場合に当該時間の労働について法第37条第1項ただし書の規定により支払うこととされている割増賃金の率と、労働者が代替休暇を取得した場合に当該時間の労働について同項本文の規定により支払うこととされている割増賃金の率との差に相当する率(次項において「換算率」という。)を乗じるものとする。
労働基準法 施行規則 第19条の2 第3項
法第37条第3項の厚生労働省令で定める時間は、取得した代替休暇の時間数を換算率で除して得た時間数の時間とする。
【時間外労働の代替休暇】の条文の解説です
1ヶ月の時間外労働の時間が60時間を超えて5割以上の割増賃金を支払う従業員に対して、その割増賃金の支払いに代えて、代替休暇を与えることについて、労使協定を締結して、従業員が代替休暇を取得したときは、差分(増加分)の割増賃金の支払い義務が免除されます。
何を言ってるのか分からない。
1つずつ順番に説明します。まず、1ヶ月の時間外労働の時間が60時間を超えたときは、5割以上の割増賃金(残業手当)を支払うことが第1項ただし書で義務付けられています。
労働基準法が改正されて、2023年4月から中小企業も60時間超の割増率が引き上げられた。
元々は、125%の時間外勤務手当を支払うよう義務付けられていたものが、150%に引き上げられて、この差額の支払に代えて、代替休暇を与えるという制度です。
引き上げられた差額というと、25%分ということ?
そうです。1ヶ月の時間外労働の時間が60時間を超えたときに、所定労働日に代替休暇を与えると、25%分の割増賃金と相殺できます。元々の125%分は対象外で、支払う必要があります。
代休を与えて、欠勤控除するような感じかな?
賃金の処理としては、そのような感じです。そして、代替休暇の制度を設ける場合は、従業員の過半数代表者と労使協定を締結しないといけません。
労使協定には、どのような内容を記載する?
次の内容です。
- 代替休暇と相殺する時間数の算定方法
- 代替休暇の単位(1日又は半日)
- 代替休暇を与えることができる期間(60時間を超えた月の翌月及び翌々月まで)
- 代替休暇の取得日の決定方法
- 割増賃金の支払日
難しそうだけど、取り入れた方が良い?
代替休暇は従業員が申し出て取得しますが、普通の年次有給休暇も取得できます。普通の年次有給休暇を取得すれば、そのまま割増賃金が支払われますので、従業員の手取りが増えます。
損得で考えると、代替休暇を取得する従業員は限られるということ?
実際にそうなる可能性はあります。代替休暇の導入を検討する前に、月60時間超の時間外労働が発生しないようにすることも重要です。
確かに。
そもそも特別条項付きの36協定を締結していない会社は、時間外労働の時間が60時間を超えることがあってはいけませんので、実務上は代替休暇が利用される余地はありません。
執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。メールを用いた関連サービスは20年以上の実績があり、全国の中小零細企業を対象に、これまで900社以上の就業規則の作成・変更に携わってきました。

