36協定の記載事項とは?必要項目をわかりやすく解説
36協定の各記載事項の解説と書き方のポイント
労働基準法 第36条第2項(36協定の記載事項)の条文
前項の協定においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
- この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲
- 対象期間(この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、1年間に限るものとする。第4号及び第6項第3号において同じ。)
- 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合
- 対象期間における1日、1箇月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数
- 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項
労働基準法 施行規則 第17条
法第36条第2項第5号の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げるものとする。ただし、第4号から第7号までの事項については、同条第1項の協定に同条第5項に規定する事項に関する定めをしない場合においては、この限りでない。
- 法第36条第1項の協定(労働協約による場合を除く。)の有効期間の定め
- 法第36条第2項第4号の1年の起算日
- 法第36条第6項第2号及び第3号に定める要件を満たすこと。
- 法第36条第3項の限度時間(以下この項において「限度時間」という。)を超えて労働させることができる場合
- 限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置
- 限度時間を超えた労働に係る割増賃金の率
- 限度時間を超えて労働させる場合における手続
労働基準法 施行規則 第17条第2項
使用者は、前項第5号に掲げる措置の実施状況に関する記録を同項第1号の有効期間中及び当該有効期間の満了後5年間保存しなければならない。
労働基準法 施行規則 第17条第3項
前項の規定は、労使委員会の決議及び労働時間等設定改善委員会の決議について準用する。
【36協定の記載事項】の条文の解説です
36協定には、次の事項を定めます。
- 時間外労働又は休日労働をさせることができる従業員の範囲
- 対象期間(1年間に限ります)
- 時間外労働又は休日労働をさせることができる具体的な事由
- 時間外労働をさせることができる時間(1日、1ヶ月、1年)
- 休日労働をさせることができる日数
- 厚生労働省令で定める事項
「1.時間外労働又は休日労働をさせることができる従業員の範囲」というのは?
「業務の種類」ごとに「従業員の数」を記載します。
従業員の数は変動するけど、多めに書いておいた方が良い?
36協定を締結する時点の従業員数を記載してください。届け出た後に変動があってもそのまま有効です。
「2.対象期間」というのは?
36協定の対象とする期間で、36協定に基づいて、時間外労働や休日労働をさせることができる期間のことです。1年間に限定されています。
36協定は毎年提出しているけど、「対象期間」は1年間しか設定できない?
1日、1ヶ月、1年の期間ごとに時間外労働をさせることができる時間を記載することになっていますので、対象期間は自動的に1年になります。
「6.厚生労働省令で定める事項」というのは?
厚生労働省令(労働基準法施行規則)によって、次の事項が定められています。
- 有効期間
- 1年の起算日
- 労働基準法第36条第6項第2号及び第3号に定める要件を満たすこと
- 限度時間を超えて労働させることができる具体的な事由
- 限度時間を超えた従業員に対する健康及び福祉を確保するための措置
- 限度時間を超えた場合の割増賃金の率
- 限度時間を超える場合の手続
「1.有効期間」というのは、対象期間とは違う?
有効期間というのは、36協定の効力がある期間のことを言います。通常は36協定の有効期間と対象期間は1年間で一致します。
「3.労働基準法第36条第6項第2号及び第3号に定める要件」というのは?
過重労働を禁止する規定で、1ヶ月の時間外労働及び休日労働の時間は100時間未満(第2号)、複数月の時間外労働及び休日労働の時間を平均して月80時間以内(第3号)とすることが義務付けられています。36協定の様式にチェックボックスが設けられていて、それにチェックを入れます。
「5.健康及び福祉を確保するための措置」というのは?
限度時間を超えて労働させる可能性がある会社は、特別条項付きの36協定を作成して締結する必要がありますが、特別条項付きの36協定の様式の裏面に、具体的な措置の内容が記載されています。
例えば?
次の内容が定められていて、該当する番号と具体的な内容を記載することになっています。
- 労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること。
- 労働基準法第37条第4項に規定する時刻の間において労働させる回数を1箇月について一定回数以内とすること。
- 終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること。
- 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること。
- 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること。
- 年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること。
- 心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること。
- 労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること。
- 必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による保健指導を受けさせること。
- その他
「6.限度時間を超えた労働に対する割増賃金の率」というのは?
法定労働時間を超えて労働させることができる時間として、月45時間(1年単位の変形労働時間制を適用している場合は月42時間)が限度時間として、上限が設定されています。特別条項付きの36協定を適用して、限度時間を超えた場合の割増賃金の率を記載します。
最低基準としては25%?
はい。ただし、時間外労働の時間が月60時間を超える場合は、50%の割増率で支払うことが労働基準法で義務付けられています。したがって、月45時間~60時間の範囲内の時間外労働の時間に対する割増賃金の率を記載することになります。
「7.限度時間を超える場合の手続」というのは?
「事前に過半数代表者と協議する」「事前に過半数代表者に通告する」といった方法が考えられます。
その手続きは省略できない?
必要な手続きとして定められていますので、省略はできません。手続きを行った日時や内容など、その記録をすることが望ましいです。
他に注意点は?
36協定は様式が決まっていますので、その空欄を埋めれば作成できると思います。
執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。メールを用いた関連サービスは20年以上の実績があり、全国の中小零細企業を対象に、これまで900社以上の就業規則の作成・変更に携わってきました。

