年次有給休暇の取得義務の基準日(施行規則第24条の5)

有給休暇5日取得義務の「基準日」とは?

労働基準法 施行規則 第24条の5(年次有給休暇の取得義務の基準日)の条文

使用者は、法第39条第7項ただし書の規定により同条第1項から第3項までの規定による10労働日以上の有給休暇を与えることとしたときは、当該有給休暇の日数のうち5日については、基準日(同条第7項の基準日をいう。以下この条において同じ。)より前の日であって、10労働日以上の有給休暇を与えることとした日(以下この条及び第24条の7において「第1基準日」という。)から1年以内の期間に、その時季を定めることにより与えなければならない。

労働基準法 施行規則 第24条の5第2項

前項の規定にかかわらず、使用者が法第39条第1項から第3項までの規定による10労働日以上の有給休暇を基準日又は第1基準日に与えることとし、かつ、当該基準日又は第1基準日から1年以内の特定の日(以下この条及び第24条の7において「第2基準日」という。)に新たに10労働日以上の有給休暇を与えることとしたときは、履行期間(基準日又は第1基準日を始期として、第2基準日から1年を経過する日を終期とする期間をいう。以下この条において同じ。)の月数を12で除した数に5を乗じた日数について、当該履行期間中に、その時季を定めることにより与えることができる。

労働基準法 施行規則 第24条の5第3項

第1項の期間又は前項の履行期間が経過した場合においては、その経過した日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日を基準日とみなして法第39条第7項本文の規定を適用する。

労働基準法 施行規則 第24条の5第4項

使用者が法第39条第1項から第3項までの規定による有給休暇のうち10労働日未満の日数について基準日以前の日(以下この項において「特定日」という。)に与えることとした場合において、特定日が複数あるときは、当該10労働日未満の日数が合わせて10労働日以上になる日までの間の特定日のうち最も遅い日を第1基準日とみなして前3項の規定を適用する。この場合において、第1基準日とみなされた日より前に、同条第5項又は第6項の規定により与えた有給休暇の日数分については、時季を定めることにより与えることを要しない。

【年次有給休暇の取得義務の基準日】の条文の解説です

年次有給休暇を前倒しで付与したときは、付与日から1年以内に5日の年次有給休暇を取得させないといけません。

どういうこと?

労働基準法では、6ヶ月継続勤務をした日に10日1.5年継続勤務をした日に11日、その後も1年ごとに年次有給休暇を付与することになっていて、労働基準法第39条第7項では、それぞれの付与日から1年以内に5日の年次有給休暇を取得させることが義務付けられています。

働き方改革の法改正で追加された。

労働基準法は最低基準を定めた法律ですので、それを上回る有利な取り扱いをしても構いません。例えば、3ヶ月の試用期間が満了した日に10日分の有給休暇を付与することも可能です。

前倒しで年次有給休暇を付与している。

その場合に、労働基準法の規定どおり、6ヶ月継続勤務した日から1年間を5日の年次有給休暇を取得させる対象期間とすると、実際の付与日と対象期間がずれてしまいます。

前倒しで付与したときに、その付与日から1年間を対象期間とするのは、妥当な取扱いと思う。

また、違うケースで、毎年4月1日など、年次有給休暇の付与日を統一して、前倒しで付与する方法があります。

年度を定めて管理をすると、年5日の取得義務の付与日数の管理・把握がしやすくなる。

会社が10日以上の有給休暇を与えて、その1年以内に新たに10日以上の有給休暇を与えたときは、通算した期間の月数を12で割って5を掛けた日数を、その通算した期間中に与える方法が認められています。

どういうこと?

例えば、最初は入社して6ヶ月後に10日の年次有給休暇を付与して、その次から毎年4月1日に統一して付与する方法があります。

最初の付与日から1年以内に次の付与日がやってくる。

はい。2019年1月1日に入社したとすると、半年後の2019年7月1日に10日分、その次の4月1日を勤続1.5年とみなしますので、2020年4月1日に11日分、その1年後の2021年4月1日に12日分を付与することになります。

3ヶ月前倒しで付与することになるのかな。3ヶ月前倒しで5日分を消化させないといけない?

原則的には、付与日から1年以内ごとですので、2019年7月1日、2020年4月1日、2021年4月1日からそれぞれ1年以内に5日分を取得させる必要があります。これが原則的な与え方です。

前倒しで付与すると、タイミングによっては11ヶ月重複するようなケースも考えられる。

ですので、重複している期間については、按分した日数とする方法が認められています。

重複した期間を按分?

それぞれ付与日から1年間は、2019年7月1日から2020年6月末日、2020年4月1日から2021年3月末日、2021年4月1日から2022年3月末日となります。

2020年4月1日から2020年6月末日までの3ヶ月が重複している。

その場合は、重複している期間を通算して、通算した期間の月数を12で割って5を掛けた日数を、その通算した期間に与えていれば適法になります。

重複している2つの期間は2019年7月1日から2021年3月末日まで、通算した月数は21ヶ月だから、これを12ヶ月で割って、5日を掛けると、8.75日になる。

端数の日数は切り上げますので、2019年7月1日から2021年3月末日までの21ヶ月の間に、9日の年次有給休暇を取得させる必要があります。

例の場合は3ヶ月で月の端数がないけど、例えば、2019年7月20日に入社したとすると、どうなる?

2019年7月20日から2021年3月31日の通算期間は、20ヶ月と12日になります。12日を最後の月の暦日数で割りますので、12÷31=0.387月になります。

20.387/12×5=8.49日。

そうなります。普通、重複する期間は1ヶ所だけと思いますので、それ以降は1年ごとに年次有給休暇を付与して、各年度ごとに5日の年次有給休暇を取得させる必要があります。

最初だけ少し難しそう。

更に、別のケースで、例えば、3ヶ月の試用期間が経過した時点で5日の年次有給休暇を付与して、6ヶ月継続勤務した日に残りの5日を付与する場合があります。

1年に5日分を取得させるということだけど、分割して付与すると1年間の区切り方が複数考えられる。

分割して付与する場合は、付与日数が10日に達した日から1年間が対象期間になります。例えば、試用期間終了後に5日、6ヶ月継続勤務した日に5日を付与している場合は、6ヶ月継続勤務した日から1年間が対象期間になります。

そうすると、6ヶ月継続勤務した日までは対象期間から外れるけど、試用期間終了後からその日までに有給休暇を取得した場合はどうなる?

その日数分は、付与義務がある5日から控除できます。

そうならないとおかしい。

社会保険労務士 木下貴雄

執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。メールを用いた関連サービスは20年以上の実績があり、全国の中小零細企業を対象に、これまで900社以上の就業規則の作成・変更に携わってきました。