深夜勤務手当の規定|就業規則の規定例
深夜勤務手当の規定
- 当社では過去に深夜勤務をしたことがありません。就業規則(賃金規程)には、深夜勤務手当に関する記載はしなくても良いでしょうか?
- 将来も22時から翌日5時までの深夜の時間帯に勤務をする可能性がゼロであれば、深夜勤務手当に関する記載はしなくても構いません。
深夜勤務手当の規定
労働基準法(第37条)によって、午後10時から午前5時までの深夜の時間帯に労働させた場合は、深夜勤務手当として、通常の労働時間の賃金の25%以上の割増賃金を支払うことが義務付けられています。
また、労働基準法(第89条)によって、就業規則に記載しなければならない事項として、賃金(手当)の決定方法、計算方法が挙げられています。
したがって、深夜の時間帯に勤務をする可能性がある会社については、就業規則(賃金規程)に、深夜勤務手当の決定方法、計算方法を記載する必要があります。
一方、深夜勤務をする可能性がゼロの会社は、深夜勤務手当を支給する可能性がありませんので、就業規則(賃金規程)に、深夜勤務手当に関する記載がなくても問題になることはありません。
しかし、深夜勤務をする可能性がゼロでない場合は、深夜勤務手当の記載をする必要があります。深夜勤務手当の記載がないと、実際に従業員が深夜勤務をしたときに、会社が深夜勤務手当を支払わなかったり、具体的な計算方法が分からなかったりして、トラブルが生じる恐れがあります。
なお、深夜勤務手当に関する記載をしたとしても、特に不都合が生じることはありません。賃金規程に1行か2行程度増えるだけです。
就業規則(賃金規程)に、深夜勤務手当を記載したくないという理由が思い浮びませんが、たまに、「深夜勤務手当の記載をすると、従業員から深夜勤務手当を支払うよう求められるから、記載したくない」と考える経営者がいます。
しかし、それは間違いです。就業規則(賃金規程)に記載していなければ、支払わなくても良いということにはなりません。
就業規則(賃金規程)に記載していなくても、労働基準法が優先されますので、従業員が深夜勤務をしたときは、労働基準法に基づいて深夜勤務手当の支払い義務があります。もし、深夜勤務手当の不払いが発覚すると、労働基準監督署から是正勧告を受けることになります。
深夜勤務手当に限らないで、時間外勤務手当、休日勤務手当についても、考え方は同じです。
執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。