就業規則の附則(付則)
就業規則の附則(付則)
- 就業規則を見ると、最後に「附則」として、「この就業規則は、○年○月○日から施行する」と記載していますが、附則は記載した方が良いでしょうか?
- 附則の記載は、労働基準法で義務付けられていませんので、会社の自由ですが、施行日や改訂日を確認できますので、附則は記載した方が良いと思います。
就業規則の附則(付則)
労働基準法(第89条)で、就業規則に記載しなければならない事項が列挙されていますが、その中に附則は含まれていません。したがって、就業規則に附則を記載するかどうかは、それぞれの会社の自由です。
附則については、労働基準法等の法律に記載されています。会社の就業規則も、労働基準法等の法律に合わせて、附則を記載しているものが一般的です。
労働基準法等の法律を見ると、本則と附則に分けられています。本則では、その法律の主となる内容を規定して、附則では、付随的な内容を規定しています。
例えば、就業規則に記載している施行期日の他に、労働基準法では経過措置も附則に規定されています。法律の内容を大幅に変更すると、社会的な負担が大きいと予想される場合に、経過措置を設定することがあります。
例えば、法律の内容をAからCに変更するときに、その間にBという経過措置を一定期間だけ適用して、その後にCに移行するようなケースです。この場合、AとCは法改正の前後で本則に規定されますが、経過措置のBは附則に規定されます。
なお、就業規則では、経過措置の内容も本則で定めますので、通常は「AからB」「BからC」に移行する2段階で就業規則を変更する会社が一般的です。通常は、施行期日と改訂期日だけで、附則に経過措置を定めている就業規則は余りないと思います。
法律を改正したときの施行期日については、その前後で法律違反かどうか分かれますので、施行期日を明らかにすることは重要なことです。
就業規則についても、法改正に伴って変更したり、労働条件を変更したりすることがありますが、いつから取扱いを変更するのかは大事なことです。
なお、労働条件を変更する場合は、原則的には従業員から同意を得る必要がありますので、変更内容や変更日について、事前に従業員に説明をしていると思います。
また、就業規則や賃金規程、育児介護休業規程などの変更を伴う、労働基準法や育児介護休業法などの法改正が、数年に1回あります。
就業規則や賃金規程、育児介護休業規程の附則に、改訂の履歴を記載していれば、それ以前の法改正には対応していると推測されます。しかし、法改正があった以降に改訂の履歴がなければ、就業規則等は法改正に未対応であることが分かります。
法改正の対応の有無の確認ができますので、附則には改訂の履歴を記載することが望ましいです。
就業規則を改訂したときは、次のように記載します。一番上は最初に就業規則を作成した日です。
附則
1 この就業規則は、○年○月○日から施行する。
1 この就業規則は、○年○月○日から改訂施行する。
1 この就業規則は、○年○月○日から改訂施行する。
ここまで「附則」で説明してきましたが、「付則」としている就業規則もあります。意味や意図は同じですので、どちらでも構いません。ただし、労働基準法等の法律では「附則」となっていますので、会社の就業規則も「附則」の方が多いようです。
執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。