就業規則は会社のメッセージ
資格手当、家族手当、住宅手当
- 就業規則を作成しようと思っていますが、資格手当、家族手当、住宅手当は設けた方が良いでしょうか?
- 各企業の考え方によりますので、一概には言えません。
資格手当、家族手当、住宅手当
会社は、労働基準法や労働契約法等の法律を守らないといけませんが、それ以外の部分については、会社の判断で自由に決められます。
資格手当、家族手当、住宅手当は、労働基準法で支給が義務付けられているものではありません。割増賃金以外の手当(賃金)を支給するかどうかは、各企業の判断によります。
会社として、「資格の取得を奨励したい」と考えるのであれば、資格手当を支給すれば良いと思います。
また、「扶養家族がいる従業員の生活費を補助したい」と考えるのであれば、家族手当を支給して、「住宅に要する費用を補助したい」と考えるのであれば、住宅手当を支給すれば良いと思います。
「会社は従業員の私生活に関与しない。賃金は貢献度に応じて支給されるべき」と考えるのであれば、家族手当や住宅手当は設けない方が良いです。
他の手当についても、支給する目的があると思いますが、「会社はこのような従業員を優遇します」、「会社は従業員の生活費も支援します」のようなメッセージ、会社の意見として従業員に伝わります。
また、会社には様々な制度があります。
- 賃金制度
- 人事評価制度
- 休職制度
- 慶弔休暇制度
- 慶弔見舞金制度
- 退職金制度
- 提案制度など
このような制度は、就業規則、賃金規程、慶弔見舞金規程、退職金規程等で定めるケースが一般的です。それぞれの制度を設けることによって、次のようなメッセージが従業員に伝わります。
- 賃金制度や人事評価制度−−−「このような従業員を高く評価します」
- 休職制度−−−「病気になっても直ぐには解雇しません。安心して働いて欲しい」
- 慶弔休暇制度や慶弔見舞金制度−−−「従業員の私生活で慶弔があったときは支援したい」
- 退職金制度−−−「できるだけ長期間勤務して欲しい」
- 提案制度−−−「積極的に提案をして欲しい」
なお、人事評価制度については、具体的な内容が従業員に伝わっていないと、従業員は何を頑張れば良いのか分かりません。もったいないことになっています。
会社が新しい制度を導入する場合は、予算が限られますので、会社は何を重視するのか明確にして、優先順位を考えて決定することが望ましいです。
資格手当、家族手当、住宅手当、その他の制度について、設けた方が良いかどうか、一律の正解はありません。人に個性があるように、会社にも個性があります。
しかし、会社の考え方と制度に伴うメッセージが一致していないと、非効率です。会社の諸手当や制度について、従業員はどのように受け取るのかという視点で、就業規則や賃金規程を確認してはいかがでしょうか。
執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。