部門ごとの就業規則の作成

部門ごとの就業規則の作成

  • 当社は複数の事業を行っていて、事業部門ごとに勤務時間等が異なります。事業部門ごとに就業規則を作成した方が良いでしょうか?
  • 部門によって労働条件(手当の構成、賃金の締切日、賞与、労働時間、休日、休職、慶弔休暇、試用期間等の取扱い)が、どの程度違うのかによります。

労働条件の大部分が異なる場合

異なる会社が合併して、それぞれが事業部門として構成している場合は、ルーツが異なりますので、労働条件の大部分が異なると思います。

例えば、以前は、運送会社と通販会社がそれぞれ別の経営者の下で、お互いに関連なく事業を行っていて、現在は、合併して同じ会社内に運送部門と通販部門があるようなケースです。

そのような場合は、手当の構成、賃金の締切日、支払日、賞与、労働時間、休日、休職、慶弔休暇、試用期間など、法定外の取扱いの大部分が異なるとと思います。

そうなると、1つの就業規則で対応することは難しいので、部門別に、運送部門用の就業規則、通販部門用の就業規則を作成するのが効率的と思います。

パートタイマー就業規則と同じように、1つの会社に複数の就業規則があっても、労働基準法上の問題はありません。

部門別の就業規則を作成する場合の注意点として、あぶれる従業員が出ないようにしないといけません。労働基準法によって、従業員数が10人以上になると、就業規則の作成が義務付けられます。そのため、就業規則が適用されない従業員がいることは許されません。

部門別の就業規則の適用範囲を明確に定めて、いずれかの就業規則が適用されることを確認してください。

労働条件の大部分が同じ場合

最初は運送会社として設立して、その後、通販部門を新設したような場合は、通常は、手当の構成、労働時間、休日等が異なっても、賃金の締切日、支払日、賞与、休職、慶弔休暇、試用期間等の取扱いの大部分は同じと思います。

その場合は、例えば、就業規則(賃金規程)の手当の構成の項目では、運送部門と通販部門に分けて記載をすれば、問題はありません。同様に、部門ごとに取扱いが異なる所で、表を設けたりして、それぞれの実態に合った内容を定めます。

別々に就業規則を作成すると、管理が面倒で、就業規則を変更するときの作業量が倍になりますので、部門が違っても、労働条件の大部分が同じ場合は、部門別ではなく、1つの就業規則で運用する方が効率的です。

また、従業員数がそれぞれ10人未満の会社が合併して、労働条件の統一を目指して、新しく就業規則を作成する場合は、1つの就業規則で運用することも考えられます。


執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。

別規則の作成について