就業規則は何年ごとに見直す?10年放置した場合の作り直し手順

古い就業規則を一から作り直したい

  • 10年以上前に作成した就業規則がありますが、法改正に対応していなかったり、今の時代に合っていないように思います。一から就業規則を作り直したいと思っていますが、問題がありますか?
  • 10年以上前の就業規則で、不備が多い場合は、修正に時間を要しますので、現在の法律や社会環境の変化に合わせて、一から作り直した方が効率的な場合が多いです。

10年以上前の就業規則

10年以上就業規則を見直していない場合は、次の2つの問題があります。

①法改正に未対応

10年以上前に就業規則を作成して、その後、見直していないとすると、法改正に未対応のままです。直近の約10年間で、就業規則の変更を伴う法改正としては、主に次のような事項があります。

育児介護休業法については、育児介護休業規程を作成している会社が多いですが、その間に大きな法改正が数回ありましたので、1つずつ規定を見直すより、一から作り直した方が効率的です。

労働基準法や育児介護休業法等の労働関係の法律は、大きな法改正が約5年に1回の頻度で行われます。就業規則の変更を伴う法改正があったときは、その都度、見直すことが望ましいですが、それが難しい場合は、最低でも5年に1回は就業規則を見直して、法改正に合わせて変更するべきです。

②社会環境の変化に未対応

法改正にも関連しますが、近年は、セクシュアルハラスメント・パワーハラスメント等のハラスメントに関するトラブルが増えていますので、服務規律(遵守事項・禁止事項)や懲戒事由として定めておくべきです。

また、従来の休職は、身体的な病気や負傷を想定した制度となっていましたが、近年は、うつ病等の精神疾患・メンタルヘルスの不調が増えています。古い就業規則のままでは、精神疾患の場合に適切な対応が難しいので、精神疾患を想定した内容に改める必要があります。

更に、個人情報やSNS等に関連する問題も生じるケースが増えています。このような社会環境の変化に応じて、職場で発生するトラブルの内容が変化しますので、就業規則を整備して、それに対応できるようにする必要があります。

数年以内に見直した・作成した就業規則

数年以内に見直した就業規則で、変更部分が数えるほどという場合は、その部分だけ変更すれば良いと思います。

何らかの事情があって、急ぎで、モデル就業規則を利用したり、他社の就業規則を流用したりして、就業規則を作成したけれども、実態と合っていないような場合は、一から実態と合った就業規則を作り直すことがあります。

法改正に対応する部分

就業規則の不利益変更の観点から、就業規則を見直す場合は、部分的に変更する場合も、一から全体を作り直す場合も、法改正に合わせて対応する部分とそれ以外の部分を分けて考えた方が良いです。

法改正に合わせて変更する部分は、基本的には従業員にとって有利に変更するものですので、就業規則の不利益変更の要件は考えなくても構いません。

法改正に関係のない部分

法改正に関係のない部分については、不利益変更の要件を考えながら、慎重に進める必要があります。就業規則の不利益変更の進め方については、こちらのページを参考にしてください。

服務規律(遵守事項・禁止事項)や懲戒事由に、セクシュアルハラスメント・パワーハラスメント、個人情報、SNS等に関連する事項を追加する場合は、従業員に説明をすれば、理解が得られると思います。

なお、現在の就業規則には記載していなくて、現在の取扱いをそのまま就業規則に取り込む場合は、不利益変更には当たりません。

就業規則を作り直す具体的な手順

  1. 現行の就業規則を確認して、問題点を洗い出す:法改正未対応の部分、実態と異なる部分をリストアップします。
  2. 法改正に対応する:年次有給休暇の取得義務、パワーハラスメント防止措置など、法改正に対応した内容に修正します。
  3. 実態に合わせて規定を整備する:実態に合った内容に修正します。
  4. 不利益変更に該当する部分を確認する:法改正対応以外で労働条件を不利益に変更する部分がないか確認します。
  5. 過半数代表者から意見を聴取する:過半数代表者の選び方に沿って、意見書を作成します。
  6. 労働基準監督署に届け出る:就業規則の届出手続きを行います。
  7. 従業員へ周知する:就業規則の周知方法に従って、従業員に就業規則を周知します。

作り直しにかかる期間・費用の目安

就業規則を部分的に変更する場合は、法改正の対応や実態の確認に時間を要しますので、一般的には1~2ヶ月程度の期間が掛かります。一から作成したい場合は、短期間での作成サービスを利用する方法もあります。

費用については、社会保険労務士事務所によって幅があります。事前に料金の目安を確認しておくと良いでしょう。

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社会保険労務士 木下貴雄

執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。メールを用いた関連サービスは20年以上の実績があり、全国の中小零細企業を対象に、これまで900社以上の就業規則の作成・変更に携わってきました。