就業規則を作成し直したい
就業規則を作成し直したい
- 10年以上前に作成した就業規則がありますが、法改正に対応していなかったり、実際の取扱いと違っている部分が複数あります。一から作成し直したいと思っていますが、問題がありますか?
- その古い就業規則を適用すると問題が生じますので、現在の法律や取扱いに合わせて、一から作成し直した方が良いと思います。
就業規則を作成し直したい
法改正に対応していない就業規則、実際の取扱いと違っている就業規則は、法律違反や労使間のトラブルの原因になりますので、早急に見直した方が良いです。
就業規則を見直す場合に、修正箇所が数える程度でしたら、その部分を修正すれば、問題なく運用できると思います。
しかし、修正箇所が多い場合、追加する規定(取り扱いが不明な事項)が多い場合は、個々の規定を修正・追加するより、一から作成し直した方が効率的です。
そして、現在の取扱いをそのまま就業規則に取り込む場合は、特に問題はありません。就業規則の作成を機会に、従業員にとって労働条件を不利益に変更する場合は、注意が必要です。
原則的には、会社が一方的に労働条件を不利益に変更することはできません。例えば、100万円で商品を販売した後に、「90万円しか支払えません」ということが通用しないのと同じです。
労働条件を不利益に変更する場合は、従業員から同意を得る必要があります(労働契約法第8条)。就業規則を変更する場合も同じです(労働契約法第9条)。従業員の全員から同意が得られれば、就業規則を不利益に変更することができます。
しかし、会社の規模が大きくなると、従業員の全員から同意を得ることは困難です。そのため、労働契約法(第10条)によって、次の事項を考慮して合理的と認められる場合は、従業員から同意が得られなくても就業規則の不利益変更が可能になります。
- 労働者の受ける不利益の程度
- 労働条件の変更の必要性
- 変更後の就業規則の内容の相当性
- 労働組合等との交渉の状況
- その他の就業規則の変更に係る事情
就業規則の不利益変更を伴う場合は、周到に準備をして、代償措置や不利益の緩和措置を検討する必要がありますので、不利益の程度によりますが、半年以上の期間を要するケースが多いです。
早急に就業規則を見直す必要がある場合は、不利益変更はしないで、現在の取扱いのまま作成した方が良いと思います。
就業規則の不利益変更が認められるまで時間が掛かりますので、それまでの間は古い就業規則を適用することになって、支障が生じることが予想されます。
執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。