提出書類の未提出|就業規則の規定例

提出書類の未提出

  • 就業規則で、採用時の提出書類として定めている書類を提出しない従業員については、解雇しても問題ないでしょうか?
  • 解雇が有効と認められるかどうかは、その内容や理由等によってケースバイケースです。

採用時の提出書類

一般的な就業規則では、最初の方で「採用時の提出書類」として、誓約書や年金手帳、源泉徴収票などを定めていると思います。この規定の違反を理由として、解雇ができるかどうかということですが、一概に可能、不可能と言える問題ではありません。

就業規則で定めている提出書類の違反については、2通りのケースがあります。1つは、書類を提出しない場合、質問のケースです。もう1つは、事実とは異なる虚偽の記載をして提出した場合です。

まず、未提出の場合については、その書類を提出させることに十分な必要性があって、その書類の提出が採用の条件になっていることを本人に説明しているかどうかがポイントになります。これを満たしていれば、解雇(本採用の拒否)は有効と認められます。

例えば、業務に欠かせない資格証明書などが考えられます。一方、年金手帳を期限までに提出しないからといって解雇をしても、恐らく認められないでしょう。業務上の必要性の程度が大きく異なります。

また、業務で高額の現金や商品を取り扱う場合は、盗難や紛失など、万一のことを考えると、身元保証書をそのように位置付けるべきでしょう。そして、身元保証書を提出しない場合は採用しないのが無難です。繰り返しになりますが、その場合は、あらかじめ採用面接のときに、身元保証書を提出することの必要性について本人に説明をして、採用の条件になっていることを明示してください。

次の虚偽の記載については、「その事実を知っていたなら採用しなかった」というほどの重大な内容かどうかがポイントになります。これを満たしていれば、解雇(本採用の拒否)は有効と認められます。

しかし、入社をして数年間、大きな問題になることもなく、業務を遂行してきた場合は、余り重要な内容ではない(必要性が高くない)と判断されますので、解雇は認められにくくなります。したがって、不審な点があった場合は、試用期間中に確認をするべきでしょう。

また、解雇の事由は就業規則に記載しなければならない事項ですので、提出書類を期限までに提出しなかったり、提出書類に虚偽の記載がある場合は採用を取り消すことがあるといった規定を、就業規則に設けておく必要があります。このような記載がないと、「その解雇には根拠がない」と反論されてしまいます。

実際に解雇するかどうかは別にしても、就業規則にこのように記載しておけば、未提出については指導がしやすくなりますし、解雇の説得力が増します。

なお、「速やかに」となっていたりして、書類の提出期限が不明な就業規則がありますので、「入社日まで」「入社日から2週間以内に」など具体的な期限を記載しておいた方が分かりやすいと思います。

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