住民票の提出|就業規則の規定例

住民票の提出

  • 採用時の提出書類として、当社の就業規則に住民票を記載していますが、住民票の提出を求めることはできないのでしょうか?
  • 住民票には必要でない事項も記載されていて、プライバシーの問題がありますので、住民票の提出は求めない方が良いです。

採用時の提出書類

就業規則に、採用時の提出書類として、住民票や戸籍謄本(戸籍抄本)が記載されていることがあります。数十年前に作成して、手直しをしていない就業規則によく見られます。

住所や年齢を確認するために、公的な書類を提出させることは必要です。

しかし、住民票や戸籍謄本(戸籍抄本)には、会社にとって必要でない事項、本人にとって知られたくない項目が記載されている可能性がありますので、強制的に提出させることはプライバシーの問題があります。

個人情報保護法によって、会社が従業員の個人情報を取得する場合は、利用目的を具体的に明示して、その範囲内で提供を求めることができます。

通達でも、就業規則に、採用時に住民票や戸籍謄本(戸籍抄本)の提出を求める旨を規定している例があるが、可能な限り、「住民票記載事項の証明書」によって処理をするよう指導することが示されています。

住民票や戸籍謄本(戸籍抄本)にこだわる理由はないと思いますので、労働基準監督署から指導を受けるリスクを考えると、就業規則の採用時の提出書類は「住民票記載事項証明書」に変更した方が良いです。

なお、住民票記載事項証明書とは、住民票の登録事項のうち、請求者が請求する項目だけを抜粋して証明する書類です。

就業規則に住民票記載事項証明書と記載して、従業員に提出を求めた場合に、住民票を提出してくることがあります。その場合は、改めて住民票記載事項証明書を提出させる必要はありません。会社が強制したものではなく、本人の意思で提出したものですので、住民票で処理をしても問題はありません。

ところで、2016年から、マイナンバー制度の運用が始まりました。

マイナンバー(個人番号)を確認するために、従業員がマイナンバーカード(個人番号カード)を提出したときは、カードに記載されている住所は住民票の住所と一致していますので、重複して住民票記載事項証明書の提出を求める必要はないと思います。

昔に作成した就業規則があって、法改正の都度、見直していな場合は、法律違反が潜んでいるかもしれません。最新の法律に準拠した就業規則に見直しましょう。就業規則を診断する、又は、思い切って新しく就業規則を作成する方法もあります。

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