採用時の提出書類|就業規則の規定例

採用時の提出書類

  • 就業規則を作成しようと思っていますが、採用時の提出書類として、どのような書類がありますか?
  • 採用時の提出書類として定めることが多い書類を列挙していますので、必要に応じて会社の就業規則に追加してください。

採用時の提出書類

厚生労働省のモデル就業規則では、採用時の提出書類として、次の書類が挙げられています。

  1. 住民票記載事項証明書
  2. 自動車運転免許証の写し(ただし、自動車運転免許証を有する場合に限る。)
  3. 資格証明書の写し(ただし、何らかの資格証明書を有する場合に限る。)
  4. その他会社が指定するもの

本人及び住所の確認をするために、住民票記載事項証明書が挙げられていますが、現在は、従業員のマイナンバー(個人番号)を取得する際に、これらの確認を行えるようになりました。

漏洩のリスクが高くなりますので、本人及び住所の確認以外の目的がなければ、住民票記載事項証明書の提出は求めない方が良いと思います。

当事務所が就業規則を作成するときに、採用時の提出書類として定めることが多い書類を列挙いたします。全部が必要ということではありませんので、会社の状況に応じて追加してください。

(1)誓約書

従業員としての自覚を促して、会社の意思(機密情報を漏洩してはならない、就業規則を遵守しなければならない等)を伝えるために、提出書類として定めた方が良いと思います。

(2)身元保証書

従業員が会社に損害を与えて、本人が賠償できない場合は、身元保証人にも損害賠償を請求できます。また、病気等により従業員と連絡が取れない場合に、間に入ってもらうこともあります。

民法が改正されて、保証人が支払い義務を負う上限額を定めていない保証契約は無効になることが定められました。身元保証人に損害賠償を請求する場合は、例えば、「1,000万円を上限として損害を賠償します」のように、あらかじめ身元保証書に具体的な上限額を記載しておく必要があります。

身元保証書の有効期限は、期間を定めていない場合は3年、期間を定める場合は最長5年です。自動更新はできませんので、更新する場合は改めて手続きをする必要があります。

(3)雇用契約書

雇用契約書については、こちらのページで解説しています

(4)雇用保険被保険者証

雇用保険の資格取得届を作成する際に、被保険者番号を記入するために必要です。

(5)源泉徴収票

年末調整をするときに必要です。

(6)給与所得者の扶養控除等申告書

所得税を計算するときに必要です。

(7)健康診断書

労働安全衛生法によって、従業員を雇い入れるときは、健康診断を実施することが義務付けられています。ただし、雇い入れる前(入社日から3ヶ月以内)に行った健康診断の証明書があって、それを提出した場合は、雇入れ時の健康診断を省略できます。

(8)通勤経路届

通勤手当の支給額を決定する際の参考にします。会社が一方的に指定する場合は、提出を求める必要はありません。

(9)自動車運転免許証の写し

業務で自動車を運転する場合に、会社が無免許を放置していて、万一、交通事故が生じたときは、会社の管理者責任が問われます。業務で自動車を運転する機会がある場合は、採用時の提出書類に追加してください。

(10)資格証明書の写し

資格や免許が必要な業務(電気工事、医療、介護等)を行う場合に、会社が無資格・無免許を放置していて、万一、事故が生じたときは、会社の管理者責任が問われます。資格や免許が必要な業務を行う場合は、採用時の提出書類に追加してください。

(11)その他会社が必要と認めたもの

ここに列挙している他に必要な書類がある場合は、この規定を根拠にして提出を求めることができます。例えば、学業成績証明書、卒業証明書などがあります。

ただし、賃金(手当)の決定に必要でない書類、業務に関係がない書類を提出させると、プライバシーの問題がありますので、求めないよう注意してください。

以前は、年金手帳を提出してもらって、厚生年金保険の資格取得届を作成(基礎年金番号を記入)していましたが、現在は、基礎年金番号の代わりに、マイナンバー(個人番号)を記入するように様式が変更されました。


執筆者 社会保険労務士 木下貴雄
2002年にキノシタ社会保険労務士事務所を開業し、就業規則を専門として、業務に取り組んできました。現在は、メールによるサービスの提供に特化して、日本全国の中小零細企業のサポートを行っています。

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