打切補償

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打切補償

労働基準法 第81条

第75条の規定によつて補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の1,200日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい。

【打切補償】の解説です

業務災害によるケガや病気の治療を開始して3年が経過しても治らないときは、会社が打切補償として1200日分の賃金を支払えば、それ以降の補償は行わなくても構いません。

どういうこと?

仕事を原因とするケガや病気については、会社に責任がありますので、会社が治療費を支払ったり、休業補償をすることが義務付けられています。

実際は労災保険から従業員に対して給付が行われるから、会社が直接補償をすることはないけど、労働基準法ではそうなっているんだったね。

はい。従業員が治療を継続し続けて、会社がその補償を永久に行わないといけないとすると大変です。

確かに。3年間で補償を打ち切っても良いということ?

3年が経過して、打切補償として1200日分の賃金(平均賃金)を支払えば、補償を打ち切ることが認められます。

1200日分の賃金というと、3年分以上の年収ということ?

そうなります。それだけ会社の責任が重いということです。

従業員が会社に対して、その打切補償、1200日分の賃金を支払うよう請求できるの?

打切補償を支払うことは義務付けられません。支払うかどうかは、会社の判断によります。

会社が打切補償を支払ったら、それ以降は従業員は補償を受けられなくなる?

いいえ。障害の状態によりますが、労災保険法で定められている傷病等級に該当する場合は、それ以降も傷病補償年金を受けられます。

じゃあ安心だ。でも、労災保険の給付を受けられるんだったら、会社が打ち切り補償を支払うメリットはあるの?

会社の補償責任が免除されます。それと、会社が打切補償を行うと、解雇制限の規定が解除されます。

会社が打ち切り補償を支払わない限り、解雇ができない?

治療を開始して3年が経過した時点で傷病補償年金を受けている場合、治療を開始して3年が経過した後に傷病補償年金を受け始めることになった場合は、その時点で打切補償を行ったものとみなされます。

従業員が傷病補償年金を受けていれば、会社は打切補償を支払わなくても、解雇できるようになるんだね。

正確に言うと、解雇制限の規定が解除されるということです。正当な解雇理由があると認められるかどうかは別の問題になります。